朱理「散々好き放題していたようだけれど……そこまでよ」

見上げるといくつかの大型兵器と、多くの赤青緑の戦闘機……いや、緑の戦闘機はプロペラらしきものがついてるのでヘリコプターなのか? とにかく首領蜂隊の兵器が純狐を取り囲んでいたのだ。それらを率いているのはエレメントドールである朱理。

朱理「さあ、アンタは既に包囲されているわ。無駄な抵抗はやめて大人しく降伏なさい。でないと……蜂の巣になるわよ?」

どうやら封印解除が間に合ったようだ。心身ともに疲弊しきっている純狐にこれだけの兵器を相手する余裕はない筈だ。武装したこれらを一気に相手するのはいくら純狐といえど骨が折れるだろう。

俺の腕から完全に痛みが引いた。能力の行使をやめたのだろう。だが、ギラギラと光る憎悪の眼光は未だ消えないまま。どうやらまだ降参したわけではないようだ。

多数の首領蜂隊の兵器に取り囲まれながら、朱理と純狐が互いに無言でけん制し合っている。ピリピリと張りつめた空気が俺の肌にも伝わってきた。

その状況がいつまでも続くと思ったが、意外と早く終止符が打たれることとなる。先に仕掛けたのは純狐、再び俺の傷口を純化しようと力を籠め始めた。その隙を見計らい首領蜂隊の赤い戦闘機が素早く純狐の懐まで接近する。戦闘機はそのままオレンジ色のオーラを纏いながらゼロ距離からのレーザー攻撃。

首領蜂隊の戦闘機は大きな標的をレーザーで攻撃している間にザコ敵の横槍を防ぐために自らを包み込むオーラを身に纏う。弾に対しては無力だがこのオーラも攻撃力を持っており、装甲の不十分な小型機の突撃くらいなら難なく防いでしまう。本来は防衛用のオーラであるが、このように限界まで接近してレーザーを放つことでその火力を攻撃に回すことが出来るのだ。いわゆる「オーラ撃ち」である。

純狐「がはっ!?」

その衝撃で俺はアールバイパーごと投げ出され、そのままサイバリオンに受け止められた。もがくように俺は銀翼から脱出する。一方の純狐はというと頭からダラダラと流血しているのが分かる。その形相は怨霊やら悪霊のように恐ろしげであった。

純狐「今回も私の負けなのね。口惜しい……チクショー!」

あれでは今度こそ動けないだろう。今も流血する中、純狐は膝をついてゼエゼエと息を荒げていた。この異様な月面戦争は……終わったのだ。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら