そこに降り立ったのは「血染めの巫女」であった。

血で赤黒く染まった布切れであまり長いとは言えない黒い長髪を無理矢理束ね、やはり血で赤黒く染まったであろう恐らくはブラウスだったもの。スカートは元々黒色だったのか、それほど目立ってはいないが、やはり返り血を浴びているように見える。まるで血の色のワンピースを着ているようなそんな出で立ちであった。

腋の部分が破れており、だけど袖はついたままで腋だけ露出しているように見える。袖だけはなぜか血で染まっておらず、その白さが逆に奇妙であった。

衣玖「霊夢……さん?」

手にしていたお札をピッと投げる。それはまるで意思を持ったかのようにジグザグに飛んでいくと首領蜂隊の兵器群を次々と切り裂いていった。負けじとレーザー砲や大型ミサイルで応戦するも、まるで残像を残すかのように空中を飛び回り、それらをすべて回避していく。

そして今度は無数の針。血染めの巫女が一度に大量に投げつけると雷光を撃沈させ、更にその残骸を蹴りながら跳躍し、今度は嵐光の目の前に陣取る。ミサイルが爆発する前にサマーソルトキックを放ち、爆散させた。

衣玖「強い……」

残った龍光は巫女の周囲を回転する七色の光を放って退治した。光はやはり意思を持ったかのように龍光を追いかけて轟沈させたのだ。一方的な展開に衣玖はただただ目を見張るしかなかった。それはサイバリオンにとっても同じであっただろう。だが、血染めの巫女は止まらない。

衣玖「待ってください霊夢さん! この子はっ……」

その圧倒的な力を今度はサイバリオンにも行使し始めたのだ。金色の龍の真下に四角形の魔法陣が展開したかと思うと光の柱が地面から突き出る。全身が赤熱したサイバリオンはそのままバラバラに崩壊していった……。

衣玖「酷い……あんまりですっ。この子は、サイバリオンは侵略者ではなく、私の友達だったのに!」
霊夢?「は? 見るからに外界からの侵略者でしょ? もう時間がないの。侵略者っぽいのは一人残らず退治よ」

それだけ言い残すと血染めの巫女はそのまま飛び去ろうとする。追いかけようとする衣玖さんであったが、突然地面が大きく揺れて足を取られて転倒してしまう。その間に霊夢らしき影を見失ってしまった。

後には多量の首領蜂隊の兵器群だったスクラップと、サイバリオンの亡骸だけが残された。

衣玖「こんなのってあんまりです。うっ、うっ……」

はぐくんだ友情が一瞬で奪われた悲しみで、衣玖さんは亡骸に埋め、泣きに泣いた……。

しかし霊夢らしき巫女が口にしていたように、幻想郷は崩壊に向けてさらに加速を始めているようだ。今も大きく揺れる地面、断続的な地震は次第に頻繁に、そして揺れも大きくなっているのだ。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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