(その頃、衣玖は……)

短い間とはいえ幾度となく死線を潜り抜けてきた相棒を、そして自分をどこまでも慕ってくれた友を失い、泣き崩れる衣玖。そんな彼女のもとに降り立ったのは白蓮であった。

白蓮「これは……いえ、深くはお聞きしません。今は心を落ち着けることが先です。さあ衣玖さん、立てますか?」

周囲には無数の首領蜂隊の兵器のものと、サイバリオンの残骸が転がっている。泣きじゃくる衣玖さんを優しく抱きしめるとよしよしと頭を撫でる。ひとまずは落ち着きを取り戻したようである。

白蓮「それで衣玖さん、蓮子さんを見かけませんでしたか? 例の兵器と戦っているうちにはぐれてしまったのです。こちらの方に駆けていったと思ったのですが……」

抱き締められながら衣玖さんは静かに首を振った。

衣玖「だけど……霊夢さんに会いました」
白蓮「霊夢さんに!? そんな筈はありません! だってロンゲーナー大佐が声高らかに宣言していたでしょう? 彼女は今回の月面戦争で既に……」

一際声のトーンを上げて白蓮の言葉を遮る衣玖。

衣玖「生きてたんですよっ! この目で見たんですっ。そして大暴れしたんですよ! 霊夢さんは『侵略者は皆殺し』だって言って奴らの兵器と、そしてサイバリオンにまでも手をかけたんです……」

リュウグウノツカイの妖怪から離れて周囲を改めて見渡し、目を見開く白蓮。霊夢が生きていたこと、そしてその蛮行に驚きを隠せないでいる。

白蓮「そんな……。蓮子さんも探さないといけませんが、まずは霊夢さんに話を聞いたほうがよさそうですね」

そう飛び立とうとした最中、幻想郷の地面が激しく揺れ動いた。

白蓮「また地震が……。先程よりも大きい!」

だが、地面が揺れただけではない。最初に「それ」を目にした衣玖はただただ硬直するしかなかった。

衣玖「あああ……アレは……アレは何なんでしょう?」

言葉を失い人里方面の空を指さす衣玖。白蓮もそちらに目をやりやはり同じように目を見開いた。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら