優しげな声の主は白蓮によく似た髪の色をした男性であった。頭は丸めていなかったが、その服装からすると僧侶なのだろうか?
僧侶風の男「君が○○だね。姉上が君のことをよく話してくれるから、すぐに分かったよ」
姉上……? あの髪の色、優しげな眼差し、こちらの心に安らぎをもたらす声。どことなく白蓮さんを彷彿させる。確かに白蓮さんには弟がいたらしいし、もしや白蓮の弟? 確か「命蓮」っていったかな? そのように思えば思うほど白蓮さんに似ているように感じる。
あれ、でも命蓮は1000年以上前に寿命でこの世を去っている筈だ。こうやって会って話が出来る筈はない。と、ということは……俺、死んでる?
命蓮「そう、僕は命蓮。遠い昔の僧侶さ。いつも危なっかしい姉上を見ていてくれて感謝してもしきれないよ」
貴方「だけど、それももう出来なくなっちまった。命蓮と、遠い昔に死んでしまった僧侶の幽霊と会話している。つまり俺の命も……」
切迫した口調で、でも事実を知る恐怖に駆られ、口ごもりながらも、俺は命蓮に尋ねた。
命蓮「そうだね、確かに今の君は生死の間をさまよっている状態だ。だからこそ僕の姿をここまで鮮明に認識できる。だけど……」
真っ暗の空間の中、ぼんやりと浮かび上がるのはボロボロになった銀翼の姿。いや、そのコクピットの中に俺の姿が影となって見える。その俺の姿をした影は今も苦しげにゼエゼエと抗っていた。俺は、まだ生きているのか?
命蓮「戻るべき体がある、そしてやるべきことも残しているのではないかな? 今の姉上はとても弱っている。支えとなる存在が必要だ」
白蓮が……。それにあの迫る「死」から抗うあの姿。白蓮さんが困っているのなら俺は彼女の力になりたい。絶望に打ちひしがれているのなら俺が彼女の希望になりたい。そして命蓮が言うにはそれが可能だという。
命蓮「何も言わなくていい。君の答えは分かり切っている。○○、生きていくということは様々な試練に立ち向かうことを意味する。決して平坦な道ではないだろう。それでも行くんだよね?」
俺は真っ暗異空間でただただ前を見つめる。その先に待つのは銀翼。俺の、白蓮さんの希望の象徴。
命蓮「今幻想郷は大いなる脅威に晒されている。それが何なのかは僕にもわからない。でも、感じるんだ。何かとてつもなく大きな存在が迫っていることが。姉上一人では僕も心配だ。でも、君なら出来る。僕も信じている。姉上の……いや、幻想郷の希望に……」
ならばなおさらこんな場所でくすぶっている場合ではない。コクピットに乗り込むとアールバイパーを起動させる。俺の記憶では大破していたはずだが、エンジンは正常に作動した。これなら飛べる、飛べるぞ!
命蓮「幻想郷を、そして姉上のこと、頼んだよ……」
エンジンの轟音響く中、その優しげな声は何度も脳内をこだました……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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