正直、そんな感情しか出てこなかった。青い、何もかもが青いのだ。青いゲルのような流体金属のようなそんなもので形成された森林のような光景であった。例えるなら「ケミカルガーデン」の中にいるって感じだろうか?
ケミカルガーデンというのは理科の実験で俺も作ったことがある。「水ガラス」と呼ばれる水溶液に硫酸コバルトや塩化クロムのような結晶を入れると、まるで植物が成長したかのように上へ上へと膜が伸びていくというものである。
だが、塩化クロムのようなチャチなものではない。ここで渦巻いているのはおそらくバイド体だ。そう、俺はあの時「瞳孔」に吸い込まれてバイドに取り込まれてしまったのだ。
俺が眠っていた場所には青いバイド体はなかったが、目覚めるのが遅かったら俺もバイド体に完全に取り込まれていただろう。
それよりも先程まで俺のいた場所を確認して驚愕した。赤かったのだ。この青の森林に似つかわしくないほどの赤色、それが風船状に膨張しており、青いバイド体も完全には覆いきれていない。
貴方「て、提督? 提督なのか!?」
赤くて風船状に膨らんだ超巨大バイド。あれは「
コンバイラリリル
」と呼ばれるバイドのものだ。そう、コンバイラタイプのバイドの最終進化系。ウニのように伸びた針は朽ちているのか、所々が腐食しており、折れてしまったものもある。それがこのバイドはもはや生命活動を行っていないことを意味していた。故に答える声もない。
貴方「くっ……」
あれだけ地球に帰りたがっていたというのに結局はこんな最期。いたたまれなくなり、俺は涙を流した。
外は、幻想郷はどうなったんだ? 見上げるとブラックホールのように空が渦巻いていた。よく見ると渦に巻かれながら柔らかな光が、幻想郷の懐かしい香りがそこから流れている気がする。
出口……なのだろうか? 意を決して飛び込んでみた。
→
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
お気に入り登録
/
登録済み一覧
セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら