走るのに夢中のチルノは気が付かないし、大妖精も二人から距離を取り過ぎていたせいで間に合わない。リリーホワイトは穴に落ちてしまったようだ。穴は真っ暗であり、既に彼女の姿は見えなくなっていた。

大妖精「どどど、どーしよー……」

一人おろおろする大妖精であったが、ゴールまで着いた後に戻ってきたチルノはあっけらかんとしていた。

チルノ「穴に落っこちたの? 大丈夫大丈夫。あたい達妖精には羽があるでしょ? フワーって飛んで戻ってくるよ」
大妖精「でも落ちた時に羽に怪我とかして飛べなくなったら……」

リリーの身を案じる大妖精であったが、どうやらそれは杞憂に終わるようである。というのもその穴から1人の妖精がふわりふわりと出てきたからである。

チルノ「ほら、大丈夫だったでしょ?」
大妖精「ねぇ、リリーちゃんは本当に大丈夫だったの? なんだか目がうつろだけど……」

穴に落ちたもののすぐに戻ってきたリリーホワイト。しかし大妖精が言うようにその様子は明らかにおかしいものであった。その両目は虚ろであっただけでなく、どこか黄色がかった目の色、そして猫や爬虫類を思わせるような細長い瞳をしていたのだ。

リリーホワイト「はルですヨー!」

両手でつかんでいたのは黒ずんだ桜の花びら。それをチルノと大妖精に投げつける。

チルノ「なんだい、今度は弾幕で勝負? 春でもないのにいい度胸ね。その勝負、受けて立つわ!」

宣戦布告ととらえたのか、チルノはやる気満々であるが、明らかに様子のおかしいリリーの身を一人案じるのは大妖精。

大妖精「ねぇ、リリーちゃん。穴に落ちた時に頭とか打ったんじゃないかなぁ? だってなんか変だもの。そういうときはやっぱり病院に行った方が……」

勝負が始まる直前に大妖精はリリーの片腕を掴み大人しくするように促すが、軽く払われてしまった。

大妖精「痛っ、リリーちゃんやっぱり何かがおかしいよ!」

戦闘の邪魔をするなと大妖精を突き飛ばしたのだろうが、こんな腕力があるはずもない。そんな何かがおかしいリリーといまだに異変に気が付かぬチルノが一騎打ちを始める……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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