にとりが指さす大部屋に入ってみると、その部屋いっぱいに窮屈そうに「提督」が収まっているのだ。軽く挨拶をすると返事をしてくれたが、頭の中に響くような声ではなくなっていた。
提督「この巨体だと風呂にも入れない。河童の娘がメンテだけでもと言ってくれたが、機械の体とはいえバイドなんだからそんなものはいらないし……」
確かにコンバイラの体では移動するのも一苦労だろう。
貴方「分離とかできないの? その姿は3つに分裂できたはずだけど」
提督「残念ながら、私の体はそれが出来るようには出来ていない。他のコンバイラタイプのバイドはどうだか知らないけどな」
それきり会話が途切れてしまう。仕方ないので「提督」の武勇伝なんかを聞いて時間を潰すことにした。その声は何処か嬉しそうではあったが空虚にも感じた。
そう話していると遠くからかすかに笑い声と白蓮が「南無三っ!」と叱りつける声が聞こえてくる。
提督「あいつら、何かやらかしたな? 様子を見てきてくれ。私は……もう少し星空でも眺めているよ」
何処か哀愁漂うジェイド・ロス提督。今も降り注ぐバイドの種子が心配で仕方ないのだろう。俺は「提督」に別れを告げると声のした方へと走った。
(青年移動中……)
白蓮「よりにもよってお風呂を覗くだなんて……南無三っ!」
ノーザリー「ひぃ! 魔が差して……。もう許してー><」
お互いに順応するの早すぎるだろ……。この皮被りのイチモツは何覗いてるんだよ、んで、白蓮は白蓮でいきなり南無三とか容赦ないだろ……。俺は唖然とした。
なお、思い切りノーザリーの先っぽに鉄拳を喰らわせた白蓮がこの後バイド化したということはなく、結構ディープな触れ合いをしてもバイド化しなそうであることが判明した。
このようにイタズラも絶えないバイド達だが、基本的には礼儀正しい集団であるらしい。風呂場を使ったら綺麗に掃除するし、誰かが深夜まで騒ぎ立てていると提督やゲインズが注意して回ったり……。
特に掃除という観点には異様なこだわりを見せている。もしかしてバイド汚染を気にしている結果なのだろうか? 艦隊にはおおよそ戦闘向けでないゴミ収集を仕事とする機械系バイド「ストロバルト」がいるくらいだし……。
なぜこんなに行儀がいいのかとある日「提督」に聞いてみたら「我々は元々軍人だ」と返って来た。なるほど……。
そんな奇妙で新鮮なバイドとの濃厚な日々が続く……。
だが忘れてはならない。人間としての記憶を残し、友好的に接してくれるジェイド・ロス提督率いるこのバイド達が異常なのであって、本来のバイドは凶暴な生体兵器であるということを……。
そしてあの日、俺はバイドの恐ろしさを改めて思い知らされることになったんだ……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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