提督「来るぞ!」

ジェイド・ロスの声で俺は我に返る。赤黒くくすんだバイド粒子がビッシリとこちらに迫ってきたいたのだ。

躊躇っていては俺まで……。俺は覚悟を決めた。静かにレイディアントソードを展開するとこれを一閃。迫るバイド粒子を斬り落とした。粒子が剣に残らないようにもう一度空を振るう。よし、反撃の時だ。やるしか……ない!

貴方「ちっくしょぉーーー!」

バイド化したリリーホワイトめがけて俺は錐もみ回転しながらツインレーザーを浴びせかける。ぐんぐん縮まる間合い。このあともう一度至近距離からのレイディアントソードで……。

貴方「!?」

だが、リリーは消えた。そう、忽然と。むなしく空気を引き裂く蒼い刃。どこに消えた……。俺は魔力レーダーに目を通しつつ感覚を研ぎ澄ませる。

…………4時の方向で魔力の増大を確認! そこかっ! くるりとターンするとリリーが出てくると思しき場所に菊一文字を撃ち出した。音もなくゆっくりと前進したポッドが、ちょうど魔力の収束する空間のど真ん中でぴたりと制止、ビーム状のバリアを展開した。

案の定リリーホワイトは罠の張られた空間に姿を現し、ビームに自分から直撃。恐らく再び瞬間移動をして撹乱しようとしたのだろうが、思わぬダメージを受けて怯んでいる。

貴方「このまま畳みかける! 銀符『ツインレーザー』!」

オプションを限界まで呼び出すとスペーシングのフォーメーションを取らせる。そのまま俺はスペルカードを掲げながら、自分を中心に横一直線に並んだオプション編隊ごと高速回転しつつ、細く短い光線をこれでもかと撃ちまくる。

そのたびにのけ反りながら吹っ飛んでいくリリー。バイド化しているとはいえ所詮は妖精。数々の修羅場を切り抜けた俺とアールバイパーの敵ではない。

白蓮「やりました、銀翼の大勝利ですっ!」
提督「いや、まだだ! これで終わってはいけない!」

服のあちこちがボロボロになり、薄羽にも無数の穴が空いており非常に痛々しいことになっている春告精。普通の弾幕勝負なら勝負が決まっているようなもの、むしろ痛めつけすぎな部類に入る。だが、これは普通の弾幕ごっこではない。俺は操縦桿を握り直す。

白蓮「いけません! それ以上は本当にリリーちゃんが……。ジェイドさんっ、他に方法はないのですかっ!?」
提督「……」

尼僧の必死の叫びに耳を傾けるも頑なに口を閉ざしたままの提督。言葉はなくとも、その悲壮な面持ちが全てを語っていた。

貴方「ちくしょう、ちくしょう……!」

照準をバイド化した妖精に合わせると、俺は固く目を瞑り……


トリガーを思い切り引いた……!
やっぱりトリガーを引けない!

名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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