俺の目の前で赤い水風船が爆ぜた。グチュと嫌な音を立てて。
あのままとどめを刺し損ねたバイドに白蓮が襲われて……。
貴方「そんな……、俺が躊躇ったから? バイドを完全に破壊しなかったから!?」
俺にだって分かっていたはずだ。バイド化したものが元に戻るはずもないと、大人しくしたくらいでは攻撃本能が減衰することはあり得ないと。
貴方「あれ……?」
しかし真下には何もない。血染めの尼僧が力なく地面に横たわっているはずなのに何もないのだ。恐る恐る見上げると白蓮ととびかかったバイドの間に入る影があった。左手からスパイク状に伸びた光の爪が逆にリリーホワイトの喉元を貫いていたのだ。そのまま担いでいた凝縮波動砲を使い、完膚なきまでにその体を吹き飛ばした。
貴方「ゲインズ……」
ゲインズ「この大馬鹿者めが!!」
機械の体を持つバイドにかつてない程に俺は怒鳴りつけられ、俺はビクンと震えた。
ゲインズ「貴様は何を守るために剣を振るう? 某(それがし)が干渉したから良かったものの、間に合わねば我らが恩人たるひじりんは今頃……」
バイド達にとって「ひじりん」は白蓮さんへのもっとも上位の敬称(と思い込んでいるようだ)である。それは今のゲインズの鬼気迫る剣幕を見れば察しが付く。
貴方「バイドがどんな奴かってのは知っているつもりだった。だけどあの子は……」
ゲインズ「バイドミッションで斯様(かよう)な戯言をほざくヤツがあるか! 貴様の迷いが、大切なものを殺そうとしたのだぞ。分かっているのか!?」
止まらないゲインズをたしなめる別の声がする。
提督「ゲインズ、もうよすんだ。彼らは軍人ではない。我々ですらかつての同胞に手をかけるのは躊躇するのだ。民間人にこのようなことを強いるのは無謀だ」
ゲインズ「しかし……」
提督「君の言い分が至極真っ当なのは私がよく分かっている。だがそれくらいにしてあげてくれ。いざという時の覚悟は必要だが、犠牲者など出さないに越したことはないんだ」
そう、ゲインズは何も間違ったことを言っていない。だから、辛いけれどこんなところで立ち止まっている場合ではないんだ。俺は何度もそう言い聞かせる。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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