幻想風穴……。
そこは地上を追われた妖怪の暮らす地底へとつながる長い長い洞穴……。天井の所々に穴が空いており、陽光がその異世界への入り口を心もとない光で照らしていた。
しかしこの洞窟の奥まではよく見えない。眼下に広がるくすんだ紫色の雲が視界を阻むのだ。雲が太陽の光に照らされており、洞窟の中だというのにまるで雲海広がる高空のような光景。まさに幻想的であった。
白蓮「この空気は……。○○さん、あちこちに高濃度の瘴気が漂っています。決してアールバイパーから出ないように!」
見た目の美しさとは相反するような言葉が飛び出る。この洞穴の雲海は瘴気によるもの。たとえ銀翼の中にいるとしても完全にシャットアウトできるものではないことを俺は知っている(かつて魔法の森で酷い目に遭ったからな……)。
貴方「確かこの辺りに……あったあった」
アリスから譲り受けた瘴気避けのマスクを着用し、一気に突き進もうとする……が、行く手は霧のように立ち込めており進路が分からない。やみくもに突き進んで壁に激突だなんてのはあまりに笑えないオチである。
瘴気は魔力を帯びているのか、魔力レーダーもまるで役に立たない。どうしたものかと頭を抱えていると、背後からまばゆい光が突き刺してきた。
提督「サーチライト照射。これで少しはマシになるだろう」
光の正体はコンバイラに装着されていたライトのものであった。真っ直ぐな光が進むべき道を照らしていた。
白蓮「慎重に進みましょう。何が潜んでいるかわかったものではありません」
ゆっくりと、ゆっくりと穴の奥底へと潜っていく。
提督「むっ、進行方向に障害物を確認。これは岩が浮遊しているのか? まるで宇宙空間のアステロイドだ……」
地下の雲海にふよふよと浮かぶ大岩。この程度の岩ならばアールバイパーの武装でも砕くことが出来そうである。狙いを定め、バーティカルマインを落とす。
1発目……空振り。2発目……これもハズレ。3発目……惜しい! 4発目……命中!
障害物に着弾すると光の槍を突き出す。浮遊する岩は粉々に砕け散った。ところで自由落下をするはずの爆弾だが、外した3発の爆風が見えない。まだまだ地底到達まで距離があると思うとゲンナリとしてきた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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