そんな中、素早い影が目の前を横切った気がした。暗がりの上にあまりの速さに何者であるのか認識できない。
提督「何かいるな……クソッ、捕捉できない!」
サーチライトを振り回しあちこちを照らすが、岩肌が見えるのみである。そうしているうちに先行していたバイド戦闘機から通信が入る。
バイドシステムα「なんだこの糸は? うっ、粘ついて動けない! 離れろっ、このっ!」
どうやら粘着質の糸が竪穴に張り巡らされているようで、数機のバイドがそれに引っかかってしまったようである。ジェイド・ロスは声のした方向へ光を照らすと、確かに空中でもがくバイド達の姿があらわとなった。そしてその糸の発生源と思われる見慣れぬ少女も……。
白蓮「あ、貴女は……ヤマメさんっ!」
貴方「こいつを知ってるのか?」
どこかから垂れ下がった糸に逆さ吊りになっているように見えるが、どうやら自分の意思でぶら下がっているらしい。全身茶色いワンピースはスカートの部分が異様に膨らんでおり、粘着質の糸の存在もあってまるで蜘蛛のようである。
その状態から体をよじらせてスイングを始めると、おもむろに腕から糸を撃ち出す。的確に岩肌に蜘蛛の糸をくっつけるとそこを支点にブランコのように大きく揺れ、バイドシステムαをとらえている蜘蛛の巣の上に乗っかった。
ヤマメ「おやおや、天下の尼僧様がこんな救いようもない妖怪どもの掃き溜めに何の用だい?」
嫌味たっぷりに白蓮に話しかける蜘蛛の妖怪。明らかに歓迎しているようには見えない。どうやら白蓮とは何か遺恨があるようだ。
貴方「白蓮、こいつは……?」
白蓮「彼女は『黒谷ヤマメ』。土蜘蛛といって、感染症を操る能力と粘着質の糸を駆使して人間に絶望を与えながら貪り食う凶悪な妖怪です!」
妖怪も分け隔てなく受け入れるはずの白蓮に凶悪と言わしめる妖怪。こいつはかなりヤバい奴だ。
ヤマメ「説明ご苦労さん。そゆことなの。こんな私もね、ちょっとは反省して入門しようとしたらさ……断りやがったのよ、この魔住職」
白蓮「嘘ばっかり! 貴女の本当の目的は、お墓参りに来た人間を襲うことだったでしょう!」
なるほど、全ての人間が命蓮寺をよく思っていないように、妖怪は妖怪で色々と確執があるようだ。そしてこんな奴をのさばらせることは白蓮さんの理想を妨げる要因でしかない。
さらに追い打ちをかけるようにコクピットの中に置いてあった宝塔型通信機が激しい光を発しながら震える。通信の相手はにとりであった。
にとり「そこにいるのは土蜘蛛だね? あんな奴容赦しなくていいよ。川は汚すし仏の白蓮さんは怒らせるし……、この際だからギッタンギッタンにやっちゃってくれ!」
よし、決まりだ。こいつを倒さないことには地底でのバイド調査もままならない。特にバイドとは関係なさそうだが少し懲らしめてやるか。
薄紫色の瘴気がゆらりとうごめくのがコンバイラのサーチライトで見えた気がした。相手もやる気満々のようだ……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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