しかしまあ瘴気が雲海のように漂うこの場所で土蜘蛛とやり合うことになるとは。雲と蜘蛛もダジャレなんじゃないかと思うとどうにも気が抜ける。もちろん気を抜いてはいけない相手だという事は重々承知しているが。

なし崩し的に戦闘する羽目になってしまったが、改めて戦況を確認すると決して有利とはいえない状態であることが分かる。

まずこの幻想風穴という縦穴という地形が足枷となっている。これではアールバイパーの強みである機動力を活かせない。更に狭いのか、コンバイラも窮屈そうにしており、援護を受けるのは無理だろう。小型バイド達の大半は蜘蛛の巣に引っかかっておりやはり支援不可能。ゲインズが救助に向かっているようなのであちらは彼に任せよう。

すると残るは俺と白蓮。最初は白蓮さんが自らヤマメと戦おうとしたがそれは俺が止めた。彼女は感染症を操る能力があるという。万一白蓮さんがとんでもない病気を押し付けられたらと思うとゾッとしたのだ。

一方の俺はアールバイパーという防壁の中にいるのでその影響をじかに受けることはないだろう。

それに彼女は端から俺のことなど狙っていない筈である。毎度毎度のことだが、幻想郷の少女であるヤマメは俺のことについてこんなことを口にしていたのだ。

ヤマメ「それにしても命蓮寺もしばらく見ないうちに随分と賑やかになったもんだね。そこのやたら喧しい変な鳥の妖怪も新しい門徒なのかい?」

毎度毎度、銀翼を変な鳥の妖怪として認識されるのは悲しいが、今回に限ってはこの誤解が役立ちそうなのだ。

超時空戦闘機、つまり乗り物であるアールバイパーは感染症にかかりようがない(さすがのヤマメもコンピューターウイルスなんかは操らないだろうし)ので良い囮になれるという算段だ。

一瞬ウイルスがどこかの隙間から入り込んで……とも思ったが、ゴマンダーの内部で戦っても俺は全然バイド化しなかったくらいだし大丈夫だろう。

しかし問題は狭さだけではない。薄暗くてよく見えないことも不安要素だし、この辺りを根城にしているであろうヤマメは縦穴での戦闘にもきっと慣れている筈。まだまだ心配な点は残っている気もするが、それでも俺がやらないといけないことは変わらない。

対するヤマメは蜘蛛の糸を巧みに利用して縦横無尽に飛び回っている。こういう相手には……

貴方「『ハンター』装備! こいつからは逃げられまい」

対象を執拗に追いかける蒼い球体を大量に発射した。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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