頭からダラダラと血を流し、手にする制御棒は激しく損傷し、バチバチとスパークが走っている。胸の禍々しいヤタガラスの瞳孔もヒビが入っているようであった。
ゼエゼエと息を上げて彼女は満身創痍なのであろう。だが、お空は生きている。生きているのだ。
提督「こいつ、まだ息がある。私は先程のスペルで武装を壊されてしまったし、少女達は魔力をフォースに注ぎ込んでしまい、回復に時間がかかるそうだ。そう、今戦えるのは君だけなんだ。○○、分かっているな?」
バイドである以上、驚異的な速度でその肉体を回復させ、再びこちらに牙をむく。生きている以上は終わらない悪夢。それは何も俺達に限ったことではない。お空とて辛い筈だ。ある日突然友人たちが敵となったという事実を受け入れられずに。
貴方「ああ、分かっている。ここでお空……霊烏路空を、バイド異変の首謀者を殺害する。これで、全てが終わるのだから……!」
トリガーに指をかけるその手が震えている。俺は反対側の手でしっかりと押さえこんだ。提督と、今まさにトドメを刺そうとする俺を除いて誰も視線を向けないようにしていた。
お燐「さっさと終わらせておくれよ。えぐっ、えぐっ……」
白蓮「……」
必死に目を背けていても涙を流していることは容易に推測できる。肩を震わすお燐の背中を優しく抱く白蓮。複雑な心境は察するが、こうする他に手がないのだ。それはお燐にも分かっていること、分かった上で俺達をここまで誘った。とはいえこの状況での涙も理解できることだ。
お空「……」
ギンとこちらを睨みつける。息を弾ませ、もはや弾幕など張れないのだ。それでも生き抜いてやるという強烈な意思がその光から感じ取れた。だが、もはや力はない。時間をおいてその肉体を回復されないうちは……の話であるが。
提督「さあ、撃て。奴が息を吹き返す前に!」
ああ、バイドを倒して地上に帰ろう。この引金を引けば、これ以上幻想郷にバイドが降り注ぐことはなくなる。どうするかなんてわかっているじゃないか。
俺は……
トリガーを思い切り引いた……!
やっぱりトリガーを引けない!
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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