炎に照らされながらこちらに近寄るのは2つの影。1つは特徴的過ぎる戦闘騎のシルエット、あれは早苗だ。そしてもう1つはやっぱり特徴的過ぎるしめ縄に御柱、そっちは神奈子で間違いないだろう。

貴方「早苗っ、それに神奈子さんまで!」

今も白蓮の腕に掴まれてもがいているさとりを今度は神奈子がヒョイと持ち上げる。

神奈子「それで、地霊殿の主さんよぉ、お前さんが覗いてみてさ、どうだったんだい?」

なんだ、なんで神奈子さんとさとりが親しげなんだ?

さとり「いいえ、あれはお空じゃなかったわ。私に見えたのはお空の心じゃなかった」

何だと? お空の心を「第三の目」で見た筈なのに、見えたのはお空の心じゃないだって!? それはいったいどういうことなんだ? 訝しむ俺の顔を何だか楽しそうに覗き込むのは神奈子さん。

神奈子「なんだ、もう忘れちまったのかい? 私はあのサトリ妖怪の反応でピーンと来たんだけどね」
早苗「ああなるほど、バイド化しても本人はそのことに気が付けない。それがバイド化した人類最大の特徴でしたね」

なんだ、早苗も分かったようだな。バイド化の特徴……? はっ、そうか。やっと俺にもわかったぞ! なぜ神奈子さんがサトリ妖怪とこの場にやって来たのかを。神奈子さんは自らの仮説を裏付けるために心を読む能力を持つさとりが必要だったんだ。

神奈子「その顔、お前さんもピンと来たね? そう、バイドを地上から、宇宙から呼び寄せていたのは霊烏路空、その本体ではなくて胸の『八咫烏』のほう! つまりそのサトリ妖怪が読んでいたのは八咫烏の心であり、霊烏路空の心は表に出ていない。つまりお空はバイド化した八咫烏に操られている状態っってことよ!」

なるほど、そうなるとさとりが必死になって止めるのも分かる。お空本人はこれっぽっちもバイド汚染していなかったのだ。もっともそれも時間の問題でありバイド体がお空を浸食しなければの話ではあるが。

早苗「神奈子様も前にしめ縄だけがバイド化するという事件に遭っていましたね。今回もそうではないかと睨んでいたのです」
神奈子「八咫烏の力は私が与えたものだからね。地上が地震やらマグマやらで大騒ぎしていた時にもしやと思ったのさ」

ならば標的を変更しよう。破壊するべきは霊烏路空本人ではなく、胸の八咫烏!

早苗「私の『フリーレンジ』でピンポイントに八咫烏を焼き切りましょう。そーっと近づいて……」

ジリジリとフリーレンジの射程範囲内に近寄る早苗。しかし、お空がカッと両目を見開く。それは琥珀色をしていた。

早苗「ひっ!」




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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