灼熱地獄を抜けると、今までの明るさが嘘のように再び真っ暗になってしまう。はるか遠くに赤黒い光の点が見えるのを除けばまさに漆黒の闇である。それでも蒸し暑さは和らぐことはない。周囲をよく見ると空気が揺らいでいるように見えた。恐らくはここも灼熱地獄のように熱されているのだろう。

そして漆黒の中で目を凝らすとそれがゆっくりと流れていることもわかる。それもみんな同じ方向へ、引き寄せられるように……。

提督「なんというバイド係数だ! この黒いのは全部バイド体だぞ。ひじりん、お燐、生身でこの空気に触れるのは危険だ。戦闘機用のスペースだが、格納しよう」

開かれたハッチ。その中に避難しようとする生身の二人。だがその直前に異変が起きる。黒いバイド体がより激しく流れていったのだ。はじめはわずかに速くなった気がする程度であったが、瞬く間にその流れは速く、多く、激しく。

提督「ぐっ、バイドを引き寄せるあの流れが……。今までよりもずっと強烈だ。持っていかれないように踏ん張るので……うわぁぁ!」

コンバイラの巨体が流されていく。バイドを引き寄せるこの流れはたとえA級バイドの強さ、大きさをもってしても逆らうことは出来なかったのだ。慌てて白蓮とお燐が押し返すように提督の体を支える。俺は反対側からリフレックスリングを飛ばし、提督を引っ張り上げようとするが、どちらもさして効果がないようだ。

グンと遠方の光の点が大きくなっていく……否、俺達があそこに引き寄せられているのだ。そしてさらに接近して……不意に止まった。目の前で赤々と光っているのはまるで燃える星、太陽のようであった。こんな地底で太陽を拝めるとは不思議なものである。

その光の中、揺らめきながら黒いバイド体が太陽……いや、その太陽とは微妙に違う方向へ引き寄せられていく。俺はその方面に視線を追いかけていく。

クワっと見開かれた赤黒い目玉と目が合った。禍々しい光を放つその瞳孔はこちらの存在に気が付くと光を発しながらギロリと睨み付けてきた。あれだ、あの目玉にバイド体が集まっているんだ。赤黒い光が周囲を照らす。

間違いない、バイドの種子を地上に落とし、バイドというバイドを引き寄せていた張本人……!

貴方「霊烏路……空!」




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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