攻撃の止んだその隙に俺と白蓮は再びお空に有効打を与えるべく接近する。俺が遠距離からミサイルを撃ち込むと、すぐに離脱。俺を追いかけようとするお空が白蓮さんに背を向けると今度は白蓮が弾幕を放つ。その繰り返しだ。果たして致命傷になっているのかどうかも疑わしいが、こうやって少しずつ削っていくしか手段が思い浮かばない。
そうしたサイクルをさらに何度か繰り返して……お空が不意に攻撃の手を止めた。どうしたのかと様子をうかがってみると、彼女は目から大粒の涙を流していたのだ。
お空「ドぉして撃ツの? どウしテぶつノ? 痛い、痛イよ……心も体も痛イよぉ……」
彼女の中で意識の混濁が見られる。それはバイドと化した者が必ず抱く疑問。そう、こんな状態になっていてもお空は自らがバイドになっていることに気が付けないのだ。
だが、その本質は敵を本能的に破壊するバイドそのもの。現に、涙を流しながらもバイド体を収束させ、次の一手に出んとしているのが分かる。
お空「みんな、ミんなみンナミんなみンな、ミンナミンナミンナミンナミンナミンナミンナミンナ……大嫌イ! 全部消エチャエ!!」
地底の太陽に一直線に突っ込んでいく。が、別に焼身自殺と言う訳ではないようだ。そう、あろうことか燃え盛る太陽に足を付けてドンと仁王立ちしたのだ。そして両手を大きく広げ、地底全体に響くであろうおぞましい咆哮をあげる。周囲のバイド体が光を帯びて周囲に浮かび上がる。
提督「こ、これは……! まさかあの地獄の太陽を使って何かを仕掛けてくるつもりかっ!?」
白蓮「め、滅茶苦茶な……」
アールバイパーもただならぬ危険を感じたのか狂ったように同じ単語を叫び続ける。もはや注意を促すものではなく、ただただ危険なものであることをパイロットたる俺に知らせるために……。
システムボイス「CAUTION!! CAUTION!! CAUTION!!」
それは誰の言葉なのか、俺には分からなかった。普通に考えればお空なのだろうが、もはや今の霊烏路空は太陽と一体化しているようなもの。煌々と琥珀色にジリジリ照らす人工太陽の言葉にも聞こえたのだ。
「サブタレイニアンサン!」
和訳すると「地下の太陽」といったところか。見たままのシンプルな名前であったが誰よりも震えていたのは彼女のことをよく知るお燐であった。
お燐「そんなっ、そのスペルは……! だめっ、お空! 今すぐ止めて!!」
未知の力が働いたのか、どす黒かったはずのバイド体が発光して一直線に人工太陽へ突っ込んでいく。これが弾幕なのか。それともバイドを引き寄せるという今のお空の特性によるものなのか。
提督「ぐうう……引っ張られる! コンバイラのこの巨体が、強烈なまでに引っ張られているッ!」
まずいぞ、何としても止めなくては……!
銀翼と妖怪寺AXE IX後編に続く……
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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