黒く大きな翼、右腕と右脚に装備された物々しい装備。そして宇宙を思わせるデザインをした漆黒のマント……。
お空「……だぁレ?」
確かに鴉の妖怪なのだろう。だが、不気味に鼓動する胸の一つ目があまりに異様に見えた。そして彼女の顔についている本来の方の瞳はうつろになっており暗い琥珀色の光を携えている。こいつが……こいつが……!
お燐「お空っ、私だよ。お燐! わかる?」
たまらなくなって親友が俺の前に出ると話しかける。そう、たとえ相手がバイドだとしても対話を試みることは有効である。現に俺がそうしたからこそジェイド・ロス提督は俺達の味方になったのだ。さて、今回はどうなるか?
お空「おリ……ん? お燐っ! お燐だー、会イたかっタなー♪ サとり様も全然来ナいし、お燐も久しブりダよねー」
にぱーっと笑みを浮かべる地獄鴉。嬉しさのあまりお燐に抱擁しようと両手を広げて近寄ってくる。その無邪気な笑みは周囲の心を和ませるが……。一連の様子を見ていた白蓮がおもむろに巻物を広げ、身体強化の魔法を詠唱し始めた。
そのままお燐に抱き付こうとするお空だったが、白蓮はそれよりも先に素早くお燐を抱き留めるとその場を一気に離脱した。おかげでお空は何にも抱き付くことが出来ない。が、異変は既に起きていた。お空の腕が炎に包まれており、先ほどまでお燐のいた場所に火柱が上がっていたのだ。
提督「これはっ……。あまりにバイド係数が高くなりすぎて自分でも制御できていない! これでは交渉は絶望的だ。残念だが……私のようにはなれない」
それだけこの地底の最奥でバイドを集めていたという事か。最愛の親友に抱き付こうとしたのを邪魔されたお空は口をとがらせて不平を漏らしている。
お空「ナんで邪魔すルの? お燐は私の友達なのニ、コんなノ酷いヨ。もしカしテ、さトり様が来ナいのもオマエのせイ?」
先程の人懐っこい様子は鳴りを潜め、その琥珀色の二つの光に冷徹さが宿る。胸の瞳孔も光を増した気がした。ゆっくりと右腕の制御棒をこちらに向けてくる。
お空「敵。オマエラ、敵。さとり様に仇なス憎き敵! ケシズミにシてやるっ!」
決して沈まぬ人工太陽の元、決戦の火ぶたが切って落とされる……
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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