次の瞬間、俺の目の前に現れたのはリリーホワイトであった。いや、普通のリリーではない。琥珀色の瞳をしたバイドに取り込まれた……
リリー「はルでスよー、ハるですヨー!」
うっ、こいつは確か幻想風穴の傍にいた……。なるほど、俺のここ最近のトラウマといえばこいつと一戦交えた時であった。
予備知識がなければ驚いていただろう。しかし俺はこの仕掛けのタネを知っている。
貴方「はんっ! トラウマを呼び覚ますというから何かと思ったら、要は対象のトラウマとなりえる幻を見せているだけじゃないか!」
ジェイド・ロス提督も白蓮さんも何かに怯えてはいたものの、目の前には何もなかった。彼らの抱くトラウマは俺なんかの比ではないほど大きいものだし、ここまでの余裕もなかったのだろう。何より相手の手の内が分からなかったという事もあるし。
貴方「残念だったな、俺は白蓮さんや提督ほどの大きなトラウマは持っていないんだ」
黒ずんだ桜の花びらを弾幕として投げつけてくる。幻だと高をくくっていたが、被弾すると激しい衝撃と共に機体が大きく揺さぶられる。一応攻撃は本物という事か。この程度で機能停止することはないだろうが、何とかこの奇妙な術から抜け出さなくてはならないという事は分かった。
ええい、忌々しい。とっととその幻とやらを打ち砕いてやればいいんだ。冷静にバイド化リリーの幻をロックオンサイトに捉えると、そのままニードルクラッカーを放った。
青白い光の針が幻を引き裂いていく。黒ずんだ桜の花びらを散らしながらまがい物のリリーは消えていった。
とはいうものの、まるで意志を持ったかのように黒ずんだ桜の花びらが執拗にこちらに絡みついてくる。
銀翼全体にまとわりつく桜の花びらを振りきろうと加速するもどこまでも迫ってくる。
貴方「ええい邪魔だ!」
これ以上しつこいのは御免だ。俺はレイディアントソードを取り出すと、思い切り一閃する。ポトリポトリと花弁は落ちていった。まったく、往生際の悪い幻だ。
貴方「白蓮、これは幻だ! 恐れるものは何もない!」
タネが分かってしまえばこんな能力はこけおどしにすらならない。今もトラウマを抉られて頭を抱えている白蓮に声をかけた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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