いつの間にか琥珀色に染まっていた世界は元の薄暗いステンドグラスの頼りない光だけの世界に戻っていた。どうやらさとりの見せたトラウマ世界から抜け出せたようだが、現実世界は現実世界でてんやわんやのようであった。

貴方「地震っ!?」

そう、紛れもない地震。今まではバイドの種子が激突した際の大きな揺れを地震と誤認することもあったが、この地表を力強く揺さぶり続けるこの感覚は紛れもなく地震そのものである。

見るとさとりが床にへばりついて倒れないようにと踏ん張っていた。恐らく地面の強烈な揺れでバランスを崩してしまい、こちらへの精神攻撃が緩んだのだろう。

このまたとないチャンスを生かさない手はない! 隙だらけの異変の首謀者に狙いを定める。

貴方「トラウマを抉る卑劣な妖怪は絶対に許さないっ!」

カチリと思い切りトリガーを引く。とどめのニードルクラッカーだ。これで、バイド異変の真相に近づけるはずだ。しかし……。

???「ニャーン!」

鼓膜に響くけたたましい鳴き声を上げながら、2本の尻尾を持った黒猫の妖怪が庇うように躍り出る。猫の妖怪は瞬く間に赤毛の少女の姿に変わると、片手から壁を張るように炎を展開し、ニードルクラッカーを防いでしまった。

白蓮「あ、貴女は火焔猫……」
猫の妖怪「だぁー、長ったらしいから『お燐』でいいっての! 悪いけれどこれ以上さとり様に危害を加えさせないよ!」

お燐と名乗る猫の妖怪も白蓮と面識があるようだ。猫の姿をしていたし、おそらくはあれもペットの一員なのだろう。

今も激しく揺れる地霊殿、精神的にすっかり消耗した白蓮さんに提督達、そして新たに現れたさとりの仲間。これは……

提督「分が悪いな。一度撤退するべきだ」

確かに。俺はやはり疲れ切っている白蓮さんに目くばせすると、一目散に地霊殿の扉から外に脱出した。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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