(その頃地霊殿内部……)
すっかり揺れの収まった地霊殿であるが、棚の上に乗っていたものが床に散乱していた。お燐は自らが引き連れていたゾンビのような姿をした妖精たちを使役して周囲を片付けている。本当に私のペットはよくできている。
私の能力は物言わぬ動物たちに好かれる一方で、(自分で言葉を話すことが出来るから)心を読まれる必要がなく、それゆえに心を読まれることを恐れる人間や妖怪達には忌み嫌われている。
お燐は長く生きるうちに物言う妖怪へと変じたが、こんな私のことをちゃんと慕ってくれている。どんな時も、どんな状況でも……。
お燐「……り様ー、さとり様ってば!」
片づけるその片手間に、愛しいペットが私に語り掛けていたようだ。
お燐「さとり様を狙う侵入者は逃げていきました。どうします、これ終わったら追いかけてとっちめてやりましょうか?」
ぶっきらぼうに本を放り投げると、ゾンビな妖精がこれをキャッチして元の本棚へと戻していく。一見乱暴な扱いだが、あれで傷一つつかないというのだから素晴らしい。まあお行儀は悪いけれど。
さとり「いいえ、それよりもお燐にはもっと重大な任務を……」
確かにバイド異変を解決しようと躍起になる存在は今の私にとっては厄介なことこの上ない。だが、あの調子ではしばらく地霊殿には近寄らないだろう。特に何故か異変を解決するべく動いているバイド艦隊たちの負ったトラウマは残酷なことこの上なく、一瞬私もあのトラウマを見せるかどうかを躊躇ったくらいだ。
そう、私も見てしまったのだ。バイドとはどういう奴であるのかを、バイドの本当の恐ろしさ「バイド化したものはそのことに気が付くことが出来ず、そしてもはや元の姿に戻ることはあり得ない」ということを。
以前からも襲ってくるバイドと思しき個体の思念を読み取り、それらしい情報はチラホラと得てきてはいたが、今回の件でその忌まわしき仮説の信ぴょう性が一気に高まってしまったのだ。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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