冗談じゃない。こんなのに構っている場合ではない。コンパクのことが気になったが、奴の目的はあくまで俺。一度逃げ込んで白蓮さん達の前までおびき寄せれば……。
そうと分かれば俺は踵を返し……
しかし立ち上がろうにも立ちくらみでもしたのか、フラフラとよろめいた後倒れてしまった。見ると化け猫が俺の背後から鋭い爪を深々と突き刺し、そして強引にも心臓を貫いてしまったのだ。
そんな、こんなことって……。悲鳴も上がらない。ヒューヒューと息が漏れ出るのみ。バシャと温泉に鮮血がまき散らされ赤色で汚していく。
薄れゆく意識の中、ドウとうつ伏せに倒れた俺は脱衣所への扉が開かれるのを見た気がした。その先にいたのは、ああ、白蓮さん……。
意識がさらに薄まって周りが暗くなっていく。白蓮さんが血相変えてしきりに俺の名を叫んでいるようなのだが、もう声も聞こえない……。間もなく俺は死んでしまうのだろう。
人が死の淵に立たされるときというのは過去の様々な出来事が走馬灯のごとくフラッシュバックするそうだ。なるほど、見えてきた。幻想入りして、白蓮さんに出会い、そして幾度となく襲った困難を切り抜けてきた様が……。妙なのは覚えのない光景まで広がってきたこと。
白蓮率いる仏教勢が俺の死を引き金に地底に全面戦争を仕掛けるというものが。駄目だ、俺ごときに俺なんかの為に……。本当に討つべきなのは、バイ……ド……
暗闇に取り込まれぬよう、俺は両目を見開き、震える腕を泣き崩れる白蓮に伸ばしていく。そしてその腕が白蓮さんの手に触れることなく、俺は遂に暗闇の底に落ちていき、それきり意識が再び目覚めることはなかった……。
DEAD END...
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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