冷静になるんだ。お燐がいくら人知を超える能力を持った妖怪といえど、化け猫は化け猫。そう、猫なのだ。

猫は何が嫌いか? そう、猫は濡れることを極端に嫌う。そしてこの風呂場という場所はその苦手な水がそこらじゅうにあるではないか。

俺は思い切り深呼吸をした。何を仕掛けるのか? いいや、何もしかけない。俺は思い切り息を吸って……潜る!

こちらは水の中、いくら妖獣といえど水を嫌う猫の体では手出し不可能の筈だ。咄嗟のことだったので息継ぎのことなど考えていなかったが、この邪魔の入らない水の中で対策を考えればいい。今の俺に必要なのは冷静さを取り戻すための時間と安全な場所だ。

鼻をつまみ、その全身を水中に沈める。さて、どうしたものか。どうにかして助けを求めたいところだが、浴槽の中から白蓮達のいる場所まで繋がってるはずもない。ううむ、このままでは袋の鼠。いずれこちらの息が続かなくなって水面に出た時にやられてしまう。考えろ、考えろ……

どうにかしてこのことを外に知らせなくてはいけない。白蓮、提督、それこそバラカスや罪袋どもでもいい。……そうだ罪袋だ! あいつら、バラカスと一緒に白蓮さんのお風呂を覗きに行っていた筈。あいつら専用の秘密の水路とかあったりしないだろうか?

水中ゆえに視覚は不明瞭なので手さぐりで浴槽を調べて回る。

……駄目だ、排水溝らしきもの以外見つからない! まさか排水溝を使ったとも思えないし……くっ、時間切れだ。もう息がもたない……。

貴方「ブハッ! はぁ、はぁ、はぁ……」

たまらず俺は水上に顔を出す。待ち構えた居たかのようにこちらをじっと睨み付けるお燐。命運尽きたか……?




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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