俺が落ち着いたのを確認するとお燐はコンパクを解放した。彼女はプルプルと身震いすると俺の後ろに隠れてしまった。よほど怖かったのだろう。
貴方「それで、わざわざ裸の俺なんて捕まえて何を話そうってんだよ?」
お燐の視線は湯船に座り込んでもどうも股間に行っている気がして落ち着かない。今もニヤニヤしてるし。
貴方「あと人と話す時は相手の顔を見なさい、顔を」
お燐「ああ、これは失礼。実はお兄さんに頼みがあってきたのよ。さとり様に一撃ぶちかまそうとした変な鳥の妖怪の正体はお兄さんでしょ? あたいは猫に変化するけど、お兄さんは随分と不恰好……いやいや、個性的な鳥に変化するんだねぇ」
くそう、こいつもかよ。だが、天狗の新聞にも出るようになったし、知名度は明らかに上がっている筈。ひょっとしてワザと言ってるんじゃないだろうか? 最近になって俺はそういう疑念を抱くようになったが、それを確認する術は俺にはない。仕方ないのでお約束の返事をする。
貴方「だからアールバイパーは変な鳥の妖怪じゃなくて超時空戦闘機、乗り物なの」
お燐「知ってるよん」
貴方「こいつ……。で、おおよそ人に物頼むものとは程遠い態度で何を望むって言うんだ?」
ひとしきりこちらをからかうお燐であったが、いよいよ本題に入るのか、その面持を真剣なものに変えた。
お燐「さとり様と戦うのをやめて欲しいんだ」
こいつ、散々人を弄んでおいて主に手を出すなというのか。それともアレか? 私の命を差し出すから見逃してくれっていう……。いやそんな感じでもないな。
貴方「馬鹿言うんじゃない! あんたの主は『バイド』という名前の悪魔に魂を売り渡したんだぞ。バイドってのは有機物無機物問わずに取り付いて本人の無意識下に凶暴化させ、更に周囲をバイド汚染させる。そしてバイド化した存在はその肉体を滅ぼさない限り救われないというシロモノ。俺の知る限り最も恐ろしい生体兵器だ……」
リリーホワイトの一件が今も脳裏でちらつく。俺はさらに続けた。
貴方「さとりがどんな野望を持ってバイドと手を組んだのかは知らないが、アレは人類の手に余る存在だ。このまま放っておいたら幻想郷は大変なことになる。今までのどんな異変よりも……だ」
こんなこと頼むためにわざわざバラカスの城まで忍び込んだのか? 主への忠誠心は十二分にあるが、外交をするにはいささか知恵が足りないようだ。
お燐「やっぱり……。そう、お兄さんの言う通り放っておいたら大変なことになるわ。でも、そのバイドって奴と手を組んだのはさとり様じゃないの」
なんだと? 俺はガバっと立ち上がると身を乗り出してその話を詳しく聞こうとした。
お燐「ふむふむ、それがいつもの姿。暖まったんだね♪」
う、うるさいっ/// こいつまた人の股間を……。
込み入った話になりそうだし、場所を変えるべきだろう。俺も十分に暖まったし。
今も自分にないモノをしげしげと観察しているお燐。俺は無言で無礼な化け猫の首根っこを掴むとそのまま脱衣所まで歩みを進めた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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