音もなく溶岩が流れる。それが赤々と地底を照らす。それ以外に光源はない。塞がれてしまったから。
ひらり、ひらりと布切れが舞っている。一つの手がそれを掴み取る。わずかな光でそれが淡い青色であることが分かる。ズタズタに引き裂かれはしていたものの、彼女にはそれが何なのかわかった。
ポタリと水が落ちる。それは涙。そう、布切れが意味すること。そして先ほど聞いた何かが溶岩に落ちる音。再び水が落ちる三度、四度……。
彼女は布切れを鼻に埋めさせ、泣いた。泣き叫んだ。かつての主の名前を叫び。
それでも胸の目玉は動じない。不気味に蠢き涙を流さない。
「さとり様はもういない。さとり様は……サとリサまは……
サトリサマサトリサマサトリサマサトリサマサトリサ
マサトリサマサトリサマサトリサマサトリサマサトリ
サマサトリサマサトリサマサトリサマサトリサマサト
リサマサトリサマサトリサマサトリサマサトリ……」
怒りと悲しみで顔を歪めつつ、主の名前を念仏のように何度も唱える。そうしているうちにいつしか涙も乾いてしまった。
そう、いくら悔やんでも彼女は戻ってこない。そのことを知ってしまったのだ。その顔はどこまでも空虚であった。瞳はうつろで今も空(くう)を見ている。
「じゃア、こンな世界もういラナい」
直後、火柱が上がった。自らも焼き尽くさん勢いで。火柱はあらゆるものを突き刺し地底のみならず地上、そして空までもを焼く。
そして幻想郷は炎に包まれた……。
銀翼と妖怪寺AXE
BYDO END...
あとがき
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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