(その頃地霊殿……)

貴方「それはどうかな?」

俺は不敵な笑みを浮かべて地霊殿の入り口に目をやる。大丈夫だ、バラカスだってバイドだし、その気になれば相手は少女だし罪袋どもが抑えにかかるだろう。しかし無情にも何の気配もしない。

さとり「ただのハッタリでしょ? このまま貴方にとどめを刺すことは可能。でも心もズタボロにしないと納得がいかないわ。何も考えられなくなるような恐ろしいトラウマを……。ところで、お仲間はどうなったと思うかしら?」

む、そういえば白蓮さんと提督の姿が……。頬を冷たい汗が流れる。二人は過去のトラウマを見せられて動けないでいる筈。なのに元いた場所にいない……嫌な予感がする!

そしてその答えは頭上にあった。俺は思わず声を失ってしまったのだ。まさか、こんなことが……。

コンバイラのぜい弱部に鉄拳を撃ち込んだ白蓮。そこから光の粒子が漏れ出ていたのだ。あれはまさかっ……。やめろっ、やめるんだっ……! だめだ、これ以上見ていられないっ!

さとり「ちょいと二人の見ている幻に細工をしたのよ。お互いが敵に見えるように……ね」
貴方「汚いぞ! そんな……白蓮が……提督がッ!」

考えうる最悪の事態だ。提督が死に絶え、白蓮さんは度重なるバイドとの交戦でついに肉体をバイドに乗っ取られている。白蓮の琥珀色の瞳がこちらを捉えた。

さとり「肉体をバイドに乗っ取られても本人は気が付けないらしいわね。教えてあげては?」

ふらりふらりと最愛の仲間が寄ってくる。

白蓮「○○さん、お顔真っ青でスよ? イったいドうしタのですカ?」

白蓮、貴女は……本当に……本当に……。

お、俺は、俺はどうすればいい……。ダメだ、考えがまとまらない……

白蓮「元気がアリませンね。怖いノですか? デもソんな時こそ勇気凛凛デすよ、ゆウきりんりん」

やだ……やだ……こんなのって……白蓮……。

白蓮「りんりん……りんりん……りんりん……」

バイド化が進行しているのか、元の白蓮さんの声がどんどん崩れていく。もはや女性のものとは思えないほどにまで変質してしまっていたのだ。

いよいよ覚悟しないといけない。もやは目の前にいるのはいつだってニコニコ笑顔でみんなを照らしていた白蓮さんではないのだ。そう、白蓮さんでは……

白蓮「りん……りん……」

俺はトリガーに指をかけた。ああ、やっぱり駄目だ。涙でぼやけて白蓮さんだったものが何人にも見える……。

白蓮「りん……さと……りん……りん……」

ん? なんか様子がおかしいような?




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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