バラカス自身も自らの体のサイズに合った椅子のようなものに腰掛け、チョコンと部屋の真ん中に収まっている。
ゲインズ「某にはますますバイドという存在が不可解に思えてきた……ううむ」
自らの、いや厳密には自らと同じような姿をした別の存在に対して苦悩するゲインズ。
白蓮「でも、バラカスさんはどうしてこんなに慕われているのですか? 普通は神様って呼ばれるほどの功績なんて中々あげられないものですよ」
バラカス「ああ、それね。俺がこっち来てからこの辺りは荒れ放題だったんだけど、それだとお肌も乾燥しちゃうじゃん。だからね、ここに水源引っ張ってきたの。そしたらさ、なんか知らないけれど同じ境遇の原始バイドや、あの罪って覆面被った奴らが水を求めてやってくるようになっちゃってさ」
そうやって話していると罪袋の一人が天井からぶら下がったロープを引っ張っている。するとバラカスの上部から水が流れ落ちてきて水上に浮かんでいるような形になった。この水の上に浮かぶ状態こそが俺も見覚えのあるバラカスであった。
バラカス「まあ水なんていっぱいあるから分けることなんて造作もないさ。あー、やっぱ風呂はいいよね、風呂は」
そのまま流れ落ちる水に打たれるバラカスはシャワーでも浴びるように主に先端部分を中心に洗い流していた。本人は大したものではないとサラリと語っているが、普通に慕われるレベルだ。
バラカス「ふー、やっぱここが一番落ち着くな。んでね、あいつらは俺のことをやれ『神様』だの『ご立派様』だのって祭り上げるんだ。んで、俺の家を作ってくれたり周りを里っぽくしてくれたりってね。俺は俺であいつらが居場所がないって嘆いているのを聞いていたから『じゃあここに住んじゃう?』って流れになってさ」
そうやって話しながら、時折体をグルンと回転させると赤黒い先っぽを水につけてまた元の体勢に戻るのを繰り返していた。元々は自分一人の為にやっていたことが周囲の共感を呼び、バラカス本人も彼らを拒絶することなく受け入れ、そして気が付いたらみんなのリーダーである。なんてすごい奴なんだ、見た目はモロにチ○コなのに。
白蓮「この方、こんな見た目でこんな言動なのですが、実は周囲を思いやれる優しい方だったのですね。貴方のような方が大多数のバイドだったらこんな異変も起きなかったのに……」
そりゃ無理ってものだ。というかこいつもこいつで群れていたら侵略者になっていただろう。忘れてはいけない。バイドとは破壊の権化。
バラカス「さて、俺の過去はこんなもんでいいだろう。それよりもさ、地底にはこんな感じで地下水が結構出てくるんだ。それらがマグマで熱せられると、どうなると思う? ……そう、温泉! 心と体が疲れた時は温泉に限るよ、さあさあ旅の方々、随分と疲れ切っていると見受けられる。ぜひ我が里自慢の温泉に。特に白黒の麗しきご婦人なんかはっ!」
その鶴の一声を引き金に罪袋達は半ば強制的に白蓮さんの背中を押して風呂場まで案内していってしまった。何故か号令を出しておきながらバラカスもその後に続く。
罪袋「我々は紳士だからな、レディーファーストなのだよ。君も紳士の端くれなら待つことは苦痛ではない筈だ。では、私も準備の手伝いがありますゆえ……失礼」
最後に一人残った罪袋もこれだけ言い終えるとそそくさと立ち去ってしまった。
提督「紳士……ねぇ。何やら嫌な予感がする」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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