そんなわけで俺は一人で浴槽へと向かった。少し前にあの惨劇(自業自得だけど)があったとは思えない程に周囲は整頓されていた。湯加減は若干ぬるいかもしれない。大体40度をわずかに下回っているくらいだろうか。とはいえこれくらいの温度の方が長く入るにはピッタリだ。
ゆっくりとその身を湯に沈め、戦いで疲弊した身と心を存分に癒す。一人になって話し相手がいなくなるといろいろな思考が脳内を交錯する。
バイド異変のこと、バイドに加担するサトリ妖怪のこと、原始バイドのこと、そして俺が幻想入りしてからいつだって頭から離れることのない我が信用すべき、でも何一つその素性を知らない相棒「アールバイパー」のこと……。
柄にもなく頭を巡らせるが、余計に疲れてしまうので考えるのはやめた。湯船で大の字になっていると真っ白い物体がフワリと飛んできた気がした。何事と目をこすりもう一度空を見てみると、何のことはない、コンパクのものである。
チャプンと湯船に入ると俺の腕の中でスリスリと甘えてくる。火照った体にヒンヤリ気持ちがいい。
貴方「まったく、今は男湯だぞ? この甘えん坊さんめ、うりうり」
コンパク「~♪」
思わぬ来客の登場で一人風呂ではなくなったが、ここでクヨクヨ考えていても何も解決しない。こうやって心の洗濯を終えたら次なる戦いに備え、その身を存分に暖めようではないか。
そうやって不思議な霊魂と湯船で戯れていると、彼女が急に体を小刻みに震わせた。何かが接近しているのか?
コンパク「……!」
今もキョロキョロと周囲を見回しているようであり、こちらにも緊張が伝わる。そういえばコンパクは今でこそ人魂のような姿を取っているものの妖夢、つまり年頃の少女としての姿も持っている。まさか、その姿のコンパク目当てにまた罪袋どもがどこかに潜んでいるのか? まったく懲りない奴だ……。
何のことはない。地底の腕っぷしの強そうな妖怪に囲まれても半霊の姿で軽くひねったくらいだ。罪袋ごときにコンパクが少女の姿になって迎撃することはないだろうし、そもそも男の体である俺が奴らのターゲットになるとは考えにくい。
無用な気を張ったな。俺は再びゆっくりと息を吐きながら湯船に浸か……待て、今何か光ったぞ!?
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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