貴方「警戒を続けろコンパク! 何かいる。覗きなんて感じじゃなかった」
今俺が一瞬目にした小さな点は二つ並んでいたことから眼光である可能性が高い。そしてそれが俺に向けられていたという事はその眼光は元から俺が目当て、つまり覗き目当ての罪袋どものものとは別のものということになる。だ、誰だ……?
湯船の温もりなど感じさせない程にゾクリと悪寒が全身を駆け抜けた。ここは原始バイドであるバラカスが神様として取り仕切っている場所とはいえ、外部と直接繋がっている露天風呂ゆえに俺を狙う何者かが襲撃しに来たとも考えられる。俺も思わず立ち上がり、いや、こういう時は身を隠すべきなのか、ダメだ、体が動かない……。
コンパクも気を張って索敵をしているようだ。そしてとある箇所に視線を集中させると、コンパクは妖夢の姿へと転じ、攻勢に出る。しかし……
貴方「こ、コンパクっ!!」
彼女の周囲で紫色の火柱が上がるとコンパクは元の半霊の姿に戻り、どす黒い電気をまといながら床に叩きつけられてしまった。
コンパク「……っ!」
まるで地面に張り付いたように身動きが取れないでいて、苦しそうにジタバタともがいている。間違いなく敵だ、明確な殺意をこちらに向けた敵が迫っているんだ。
まずい……まずいまずいまずい! 俺はアールバイパーなしでは無力。コンパクも敵の術にはまり動けないでいる。というより今の俺は裸だ。敵はこの最も無防備な瞬間を虎視眈々と狙っていたのかもしれない。
そして奴が姿を現した。やたらと大きな「ニャーン!」という鳴き声を上げて、二股の尻尾を持った黒猫が浴槽のふちをゆっくりと音もなくジリジリとこちらに迫ってくるのだ……!
銀翼と妖怪寺AXE VII後編に続く……
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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