旧灼熱地獄……。ゴウゴウと身を焦がす炎の熱気は銀翼の中にいても伝わってくる程であった。吸い込む空気も下手をしたら火傷をしてしまうレベルかもしれない。
ムラサやにとりと別れ、お燐が先導する中、俺、白蓮、そしてバイド艦隊と続いていく。
お燐「一本道だからはぐれることはないと思うけれど、念のためね。ええと確かこの辺りに……あったあった」
燃え盛る火炎の中、小型の貨車と地獄の底へと続いているであろう線路……。恐らくたくさん集めた死体をこの貨車に乗せて灼熱地獄の燃料としているのだろう。……よく燃えるものなら死体じゃなくてもいい気がするとも思ったが、口に出すのはやめておこう。
お燐と白蓮さんが同じ貨車に乗り込み、アールバイパーはその後ろでリデュースしたまま牽引されている。貨車と言っても簡易的なもので雨もしのげないようなものであり見た目はそのまんまトロッコである。
しかし決定的に違うのが何かしらの動力でちゃんと動いていること。確かにエネルギーは有り余っている場所ではあるが……。ちょっと怖いので動力について聞いておくのもやめておこう。
それにしてもこれだけの酷暑、ちょっと外には出たくない。こんなひどい環境ではあるが、流石にジェイド艦隊、特に提督はサイズの関係上絶対に乗り込めないので傍を低空飛行することになったようである。
お燐「いいでしょ、あたいが線路敷いたんだよ。河童達がさ、線路を敷く機械が古くなっちゃったって言うんで格安で譲ってくれたのさ。『
カルベルトワーゲン
』って名前だったかしら?」
か、カルベルトワーゲンだって? また早苗が喜びそうな……じゃなかった、なんちゅう物騒なもの作ってるんだよ、河童どもは……。
その工作列車を用いて地獄に線路を敷いて日々の業務を楽にこなせるようにしたってことだろう。
貴方「俺の知っている『カルベルトワーゲン』は武装もしていたはずだが、バイド汚染とか大丈夫なのか?」
お燐「いやー、線路を敷くにはちょうどよかったんだけど貨物列車としてはちょっとデカすぎたんで今は押し入れで埃被って眠ってるよ」
恐らく大丈夫だろう、そう思いたい。俺は余計な手間が増えないことをガタゴト揺れる貨車の上で祈った。
今もあちこちで火柱が上がっており、近くまで迫るたびに俺は肩をすくめる思いをしてきた。こんなのがいつまで続くのだろうか? そう思っていた矢先、思いもよらぬ形……いや、予測通りというべきか。とにかくおおよそ快適とは程遠いものの、便利な貨車の旅は終焉を迎えることとなったのだ。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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