やはりここではたてを危険に晒すわけにはいかない。
あのミノカサゴの姿だって赤いクリスタルの持つ記憶の一つ。次にどんな姿を取って迫ってくるかも読めない中でこちらの手の内を早々に明かすのは悪手と判断したのだ。
貴方「はたて、俺を信じろ。お前に怪我はさせられない」
振り向かず、俺は無意識にはたての手を握っていた。不安にさいなまれているからか、手はひんやりと冷え切っていた。
貴方「バジュラバイパーの純粋な魔力をぶつけて強引にあの形態を解除させるっ!」
一息、俺は深呼吸をすると魔力を銀翼に集中させる。
貴方「全無……」
魔力は青白い光となりバジュラバイパーを包み込む。
貴方「……『αビーム』!」
緑色の極太レーザーが途切れた瞬間を狙って俺は力強いビームを撃ち出した。大技を繰り出した直後だ、隙を晒している筈。そこをコイツで撃ち抜けば……。
貴方「なっ!?」
だが、奴が次にとった行動は弾幕をまき散らすことではなく、突撃であった。ミノカサゴはあくまで本体ではなく赤いクリスタルが身に纏った装甲のようなもの。αビームなど気にせずに全速力で突っ込んできたのだ。
辛うじて突撃はかわしたものの、俺達は背後を取られてしまった。
はたて「ヤバいんじゃないの!? この状況で撃たれたら……」
αビーム照射中は機体の制御が困難であり、ここから背後に振り返るのは不可能だ。かといって暴力的なまでの魔力の放出は途中で止めることが出来ない。ビームを撃ち終わるまで無防備な背後を晒し続けることになってしまうのだ。
はたて「やっぱり私も手伝うわ! アイツの弾幕を全部スポイルしてやる!」
コクピットの中で後ろを向いたはたてはカメラを構えて迎撃準備に入る。
貴方「いや、ダメだ! はたて、お前だけでも脱出しろ!」
後光を纏いしミノカサゴがライムグリーン色の光に包まれていく。俺は慌ててリデュースを解除して鴉天狗に脱出を促そうとするが……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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