はたての声「聞こえてる? 聞こえてるかしら○○? 貴方がこの映像を見ている時、私はもうこの世にいないかもしれない。でもこの映像を見ていてくれると嬉しいなっ。だって、私が命を懸けて守りたいものを、ちゃんと守り切れたってことなんだもの」

悲痛な面持ちをどうにか誤魔化そうと無理やり笑顔を作る鴉天狗の少女が俺に語り掛けていたのだ。

はたての声「私の速さでは二人一緒に助かることは出来なそうなの。だから、私の想いを伝える為に貴方にこのカメラを託すわ。貴方だけでも幻想郷に帰るべきだもの」

そういうことか。恐れていたことが現実となってしまった。俺を助ける為にはたてが犠牲になったようなのだ。

はたての声「○○の事だから、きっと私を連れて行ったことを凄く自分で責めてしまうと思う。だけど、それは違う。私の方から我儘を言っただけだし、今だってこういう選択を取ったのは私の意志そのものなのだから。だから貴方は何にも悪くないわ?」

映像も後半の方はノイズがひどい。それでも辛うじて聞き取ることが出来た。

はたての声「それに、私は幻想郷に戻れない。このままだと住職サマに合わせる顔がないわ? こんな時でも貴方は住職サマとの絆を大切にしていた。それを見て感じたの。やっぱり私みたいな半端者の妖怪が○○の生きる道を歪めるなんて到底許されない事なんだ……って」

涙混じりの声で、時折嗚咽しながらも彼女はさらに続ける。

はたての声「だから……ね、○○には住職サマと幻想郷の未来を切り開いてほしいの。だから……だから、私とはここでお別れ。最後まで伝説を見届けて本に出来なかったのは残念だけど、でも……でもっ、あの世でちゃんと見守ってるから!」

俺はただただガクリと肩を落とした……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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