深い深い眠りから俺は目を覚ます。余分な魔力は体内には残っておらず体調はすこぶる良い。だが、何か様子がおかしかった。
貴方「なあ白蓮、ここは幻想郷……なんだよな?」
周囲の光景に俺は愕然とした。緑豊かで妖精が騒がしいあの幻想郷は目の前にはなかったのだ。同じく白蓮も呆然としているのが目に入ったので俺は確かに帰還できたというのは確かな筈だ。だとというのにこの荒れ果てた光景は何だ?
赤茶けた荒地がどこまでも続き、時折建物の一部だったものと思しき黒い柱が朽ち果てるその時を待っているように傾いて寂しそうに立っていたりしている。地面は乾燥でひび割れており、まさにこの世の終わりと言わんばかりの惨状であった。
白蓮「何も……残っていません。水も、酸素も……」
白蓮の結界の中にいて俺は無事なのだが、俺達には何が起きたのかがすぐにわかってしまった。そう、間に合わなかったのだ。紫の抵抗もむなしく、あの赤いクリスタルが幻想郷の大地に植え込んだクリスタルに酸素や水分を吸い尽くされ、生き物が暮らしていけなくなってしまったのだろう。
自然が失われれば妖精はひとたまりもないし、恐れてくれる人間がいなくなれば妖怪も生きていけない。不老不死たる蓬莱人も飢えや渇き、息苦しさはしっかり感じる筈なので、どこかに逃げ出してしまったと考えられるし、幽霊や亡霊の類は……この荒れ果てた地を疎んで成仏してしまったか、やはり他の地に渡っていってしまったか……。
白蓮「だというのに、私達だけ生き延びてしまって……ぐすっ」
とにかく、俺達以外に生者の息吹がまるで感じられないのである。結局幻想郷を守ることは出来なかった……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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