しかしそのような甘いひとときは長くは続かなかった。墜落した八雲亭から血まみれになりながらもヨロヨロと這い出てきたのは青娥。その足取りはフラフラとしており、ひっきりなしにゼエゼエと息を切らせている上に、「石のような物体」の後ろ盾を失った彼女はもはや脅威ではない筈だ。
だが、俺は本能的に危険が迫っていることを感じていた。
青娥「ふ、ふふふふ……。抗ったところで、否定し続けたところで……進化の潮流は止められませんわ。このわたくしでさえも止められないのだから」
その直後、激しく地面が揺れ始める。八雲亭と同じく墜落して輝きを失った筈の「石のような物体」が再びゆっくりときりもみ回転をしながら浮上を始めた。
青娥「あははははは! 今回の進化では、わたくしが選ばれることはなかった。だけど、次の進化の時こそ、わたくしが幻想郷の覇者となる。お前ら全員皆殺しにされることで……な!」
その後も邪仙は膝をつきながら狂ったように笑い続ける。鈍色をした「石のような物体」にヒビが入ると、そこから赤黒い光が漏れ出始めた。
バラバラと殻を破るかのように剥がれ落ちていく。まるで脱皮をするかのように。まるで、卵から生命が生まれ出るかのように。
白蓮「そんなっ……。本体はあの中身だというのですか!?」
邪仙の高笑いが響く中、全ての元凶たる八面体がその真の姿を現す。「石のような物体」よりかは一回り小さいが、放つ光は禍々しい赤黒いもの。とても創造神と言えるようなシロモノではなかった。
早苗「あれは『雷電』シリーズに出てきた……!?」
貴方「赤いクリスタルか。アイツが石のような物体になりすまして……」
音もなく再び幻想郷の空に向かって高く高く浮上する赤いクリスタル。
青娥「あーははははは! あーっはっはっはっはっは……ごふっ!」
ふんぞり返るように狂い笑う邪悪はとうとう笑い過ぎてあおむけに倒れこんだ。その時に吐血もしたらしく、ようやく笑い声が収まった。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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