赤黒いクリスタルは終始無音であったが、この直後に思いきり空気を震わせることになる。だが爆音によるものではない。信じがたいことに会話をしてきたのだ。


我は移民なり。
5度の世界大戦で母なる星を失った。
ゆえに新天地を求めこの場を我らの楽園とす。



次の瞬間、更に信じがたいことが引き起こされる。石化して地面に乱雑に横たわっていた兵器群からクリスタルが発生し、まるで植物のように成長を始めていったのだ。

早苗「まさかっ……! 紫さんっ、周囲の空気や湿度を調べてみてください! 私はアイツを叩きます!」

それだけ告げると風祝は戦闘騎に飛び乗り、赤黒い石を追いかける。急なことを言われてキョトンとしていた紫であったが、どうやら本当に調べているのか地面に手を当てていた。

紫「酸素や水分が次々とクリスタルに流れ込んでいるわ! このままでは……」

あのクリスタルは酸素や水を取り込んでしまう特殊なものである。このまま放っておいたら幻想郷から酸素や水分……つまり生き物が生きていくために必要な成分を吸い尽くされてしまう。

貴方「奴は幻想郷の環境を一度リセットさせることで原生生物を絶滅させ、一旦死の星にした後、今度は酸素や水をため込んだクリスタルを元に戻すことで、もう一度テラフォーミングして自分の楽園にするつもりなんだ!」

周囲の至る場所からクリスタルが生えてきている。それと同時に息苦しさも感じてきた。

紫「なんて速度なの!? こうなったら……」

妖怪賢者から紫色のオーラが発せられる。程なくして息苦しさからは解放された。恐らくは彼女が何かしたのだろう。お礼を言おうとしたのだが、紫は今も苦悶の表情を浮かべて地面に両手を当てている。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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