逆を言えば追い詰めているともいえるが、幻想郷の住民ではあの空間に入り込むことが出来ない。

貴方「出入りできるのはあのクリスタルから生み出された存在のみ。つまり俺の銀翼だけ……ということか」

俺だけがあの場に赴いてクリスタルを倒す。それはつまりバジュラバイパーの消滅、ひいては俺の死をも意味している。奴に勝利しても、敗北しても俺に課せられた運命は一つだけ……。

紫「○○、今となってはこんなことを頼むのは酷だと思うわ。だけど、貴方しかいないの。貴方こそが幻想郷最後の希望なのよ」

俺が……俺がやらないといけないのか。

藍「紫様が能力でクリスタルの浸食を食い止めているとはいえ、もって1日が限界だろう。それを過ぎれば幻想郷上から酸素と水分は失われ……あとは言わなくてもわかるな?」

一連の話を聞いていてもちろん納得がいかないのは白蓮。そんな藍に食って掛かってきた。

白蓮「そんな話がありますかっ! ○○さんが決して帰れない戦いに赴こうとするのを指をくわえて見ていろというのですかっ! それならば私が行きます。私が銀翼を操って……」
貴方「それは無理なんだ、白蓮! バジュラバイパーは俺の声がなければ兵装の展開もスペルカードの発動も出来ない。たった1日でそのリミッターを外すのは不可能だろう」

いいんだ。元々俺の方が幻想郷ではイレギュラーな存在。イレギュラーはイレギュラーが始末する。そうすれば俺の愛した幻想郷は元通り。白蓮も平穏に暮らしていける……。

それに俺には今の紫を責めることなんて全然できなかった。あの辛そうな面持ち。本当ならあんな非情な手段は使いたくなかったことが見て取れるのだ。

誰もが沈黙する中、賢者は静かにこう告げた。

紫「……明日の丑三つ時に作戦を決行するわ。奴の結界が弱まったタイミングで、こちらも大きな力をぶつけて貴方をあちら側に送り込む。○○はそれまでに休息をとるように」

誰もが異論を唱えることが出来なかった。ただただクリスタルの復活と共に再び息を吹き返したバジュラバイパーの駆動音だけが鳴り響いているのみであった……。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら