ひとまずは守矢神社から命蓮寺へ向かう俺達。今でも邪悪な赤いクリスタルが幻想郷の空を侵食し続けているのが見えていた。恐らくはどこかでSTG世界の住民も復活していると思われるが、その姿はどこにも見えない。

早苗は結局同行していない。今も守矢神社で一人戦い続ける紫の護衛をしなくてはならないからだ。今の幻想郷が生物の生きられる土地たり得ているのは紫の能力があってのこと。

いずれあの赤いクリスタルからSTG世界の兵器を呼びだして無防備な紫を攻撃しようとするだろう。藍一人では対処しきれないだろうということで早苗と神奈子、そして霊夢が護衛を行うということに決まったのだ。

日も傾く頃、ようやく第二の故郷が見えてきた。もうこの季節なので日も落ちるのが早い。

白蓮がさっきから俺の手を握ってまるで離さない。気持ちはわかる。俺だってこうし続けていたい。だが、俺が行かなくてはならないんだ。俺が行かなければ幻想郷は死の大地に成り果てる。それくらいなら……。

気付くと俺も白蓮の手を握る力が入っていた。命蓮寺に着くとまずは銀翼を格納庫へ着陸させる。

貴方「ただいまにとり。大事な戦いは目前だ。しっかり整備してほしい」

そして我が銀翼を手練れのエンジニアに託す。河童は実に優秀であり、きびきびと作業を進めていた。ひとまずは兵装を元のものに戻してもらおう。しばらく様子を見ていた俺から白蓮は今も離れようとしない。

にとり「話なら大体聞いたよ。○○、これがこの銀翼に乗っての最後の戦いになるんだろう?」

腕まくりをしながら工具を動かす河童の少女はこちらに目を向けることなく声かける。

貴方「そうだ、あの赤いクリスタルを破壊すれば幻想郷は元通りだ。あるべき姿、あるべき存在のみが生き続ける」

スパナを回す手が止まる。そして数秒の沈黙。

にとり「なあ、お前は……」

振り向いたにとりは顔中に、特に目の辺りをススや油で黒く汚していた。

にとり「お前は本当にそれでいいのか!? このまま○○一人で出撃したら勝っても負けても死んでしまうんだぞ!」

涙をためて赤く腫らした河童の目に睨まれて、俺は一瞬たじろいでしまう。

西陽が射す中、沈黙はしばし続いた。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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