だが、俺の意思は変わらない。俺が行かなければ幻想郷に未来はない。つまりどう転がっても俺はここで死ぬ運命だ。ならば、この消えゆく命を誰かのために燃やそうではないか。
貴方「ここで俺が引けば幻想郷が死に耐える。白蓮も、にとりも、そして……俺自身も。どうあってもその運命から逃れられないのなら、俺は幻想郷に命を捧げ……」
にとり「私は嫌だっ!!」
部屋中に響き渡る拒絶の叫び。にとりは今も肩を震わせている。
にとり「何が悲しくって、帰ってこないと分かってる奴の為にメカを整備しなきゃいけないんだ! 何が悲しくって死のうとしてる奴を見送らないといけないんだ!」
それだけ早口でまくし立てると、スパナを床に置いてしまった。
にとり「生きて帰ることを約束してくれなきゃ、もう整備はしてやらん」
貴方「無茶を言わないでくれよ! それとも、何かいい方法があるのか?」
無言でにとりはバジュラバイパーのコクピットを指さす。
にとり「バジュラバイパーは複座式だ。ここに空を飛ぶことのできる幻想郷の少女を乗せるんだ。で、あのクリスタルをぶっ壊したらお前は少女に乗っかって脱出する。そうすれば生きて帰ってこれるかもしれない」
確かにコクピットに空を飛べる人をもう一人乗せればバジュラバイパーが消滅しても俺は無事に帰ることが出来るだろう。だが……。
貴方「危険すぎる! あのクリスタルの能力は未知数だ。何が起こるか分からないし、下手したら俺だけじゃなくてお前達まで犠牲になる可能性が……」
白蓮「にとりさん、その作戦で行きましょう! バジュラバイパーには私も乗ります」
そんな上手く行く話なのか? 俺だって分からない。だけど俺のせいでまた白蓮が傷ついたらと思うと俺は即決が出来なかった。
にとり「よーし、徹夜で整備するぞ! 出力だって限界まで出せるように調整してやらないとな。○○、住職サマと一緒に出撃するんだ。約束してくれたら作業を再開してやる」
それだけの覚悟があるのなら、俺は白蓮と運命を共にするのも悪くない。そうだ、俺は希望を繋ぐ銀翼の担い手。俺が希望を捨ててどうするんだ。
俺は無言でうなずいた。それを確認した河童の少女は再び汚れた手でグシグシと目元をこするとスパナを手に銀翼へと向かっていった。
きっとうまくいく、そうに違いない。俺は頭の中でそうやって自分を鼓舞し続けて自分の部屋に向かう。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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