どこか思い詰めていたような白蓮の表情もいくらか柔らかくなっていた。
白蓮「さすがにとりさんですね♪ こうすれば○○さんも無事に帰ってこれます」
確かにこれで俺が死ぬという結末以外が見えてきた。だが、それでも気分が晴れなかった。
俺は確かに生き延びるだろう。だが、銀翼は? 幻想入りしてからずっと俺の相棒として活躍してきた銀翼はその生みの親である赤いクリスタルを破壊したら消えてしまう。
仮に生き延びたとして、銀翼がなければ俺は何の力も持たないただの人間。白蓮の為に遠くから馳せ参ずることも、援護射撃することもできなくなる。
貴方「白蓮、俺を助けることは出来ても、バジュラバイパーは失われてしまうんだ。銀翼のない俺はただの人間だぞ?」
白蓮「いいえ、そんなことありません。貴方が勇気あって優しさに満ち溢れた、強い心を持っている人だということ、よーく知っていますから」
ああいう風に白蓮は言ってくれているが、銀翼がなければ足手まといになることは不可避だろう。
これから俺は銀翼なしで幻想郷で生き続けないといけない。一人でここから人里に向かうのすら命懸けだというのに。無論、白蓮なら喜んで俺をお世話してくれるだろう。だが、そうなることに罪悪感を感じざるを得なかったのである。
それでも……、それでも俺は逃げてはいけない。どうにかそうやって自分を保ちながら俺は白蓮と別れて自分の部屋へと向かう。
一人になると不安な気持ちで頭がいっぱいになる。もう今日は寝てしまおう。そう思い足早に廊下を歩いていたら急に俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。
何か切迫したような、思い詰めたような甲高い少女の声。振り向いたがそこには誰もいなかった。おかしいなと訝しんでいると、屋内だというのに突風が襲ってくる。思わず顔を覆っていると俺はまるで風に飛ばされるように体が浮き上がり、そして気が付くと俺は命蓮寺の屋根の上に飛ばされていた。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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