興味本位で入った寂れたゲーセン。
薄暗く機械が発する熱気でムンムンとしたその場所は、21世紀に入って急速に淘汰されていったゲームセンターの姿がそこにあった。

そしてその奥にひときわ大きな筺体が見える。自分はこの筺体に見覚えがあった。
とある縦STG(シューティングゲーム)のシリーズの流れをくんだ3DSTG「Project RS-2」である。確か元の作品名は自機の名前そのまんまの「斑鳩」ってタイトルだった筈だ。

心躍った。名前だけは聞いていたものの、いざプレイしに行こうと思ったらどこも撤去されていてついにプレイが出来なかったもの。それが目の前にある。
せめて興奮だけでも味わおうと動画サイトでプレイ動画を飽きるまで見ていた時期もあった。
それが、その恋い焦がれたそれが目の前にある。このチャンスを逃す手があるか、いやない。

吸いこまれるようにその大型筺体に自分は座り込み、コインを入れた……。確か裏技で自機を斑鳩から銀鶏に変えられた筈だ。こうやってこのボタンを押しながら……よしできた、「銀鶏」モードだ。

プレイ動画をずっと見ていたので、概ねサクサクと進むことが出来た。
特にこのシリーズはパターンの暗記が要となる。十分すぎる予習は今回のプレイでも十二分に役に立っていた。
あっと、油断した。敵が最後っ屁のようにばら撒いた弾に被弾して自機「銀鶏」が派手に爆発してしまう。
1回目のプレイは最初の被弾の後、そのまま体勢を立て直せずゲームオーバーになってしまった。

一度筺体を下りてみるが……、どうやらパイロット志願者は自分ひとりだけであるらしい。特に敷居の高いこの作品だ。ただでさえ緻密なパターン構築や白と黒のバリアの有効活用を求められるというのに、それに加えて3D空間で同じことを強いられるのだ。
それならば遠慮なく……と再びコインを入れる。

さっき死んだ場所は特に注意を配り、そして何事もなくクリア出来た。その後も上手く立ち回り、気がつけばもう最終ステージ最奥まで来てしまった。

これから、互いに弾を吸収しつつの力の解放、いわゆる「解放合戦」という最大の山場が訪れるのだ。

操縦桿を握る手が汗ばんだ。握る手にも力が入る。ゴクリと生唾を飲む。

今流れているBGMが流れる瞬間、球体のような巨大な影が黒色の、白色の追尾レーザーを交互に発射し始める……

さあ、行こうか……!




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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