やっぱりこの世界は理不尽だ。結局は映姫様もあのスキマ妖怪と一緒じゃないか。違うのは問答無用で俺を殺そうとしたか、自らの持つ正義に基づいて裁きを下すかの違い。

このままでは紫に襲われたままの時と同じ結末をたどることになるだろう。情けないかもしれないが俺はメソメソと独房の中で涙を流していた。

こんなの理不尽だ、不条理だ! 俺は銀鶏を実体化させようだなんて意思はこれっぽっちもないというのに。

そうやって己の運命を呪っていると、突然独房の扉が開かれた。その先にいるのは……映姫様である。

映姫「○○、罰を言い渡します。銀鶏を速やかに修繕し、この一連の異変の犯人を発見、退治なさい。期限は無限。
貴方に出来る善行は、己を知ること。銀鶏を幻想入りさせた原因を突き止めること。そしてこの一連の異変に終止符を打つこと!」

それだけ言うとまるで鉄の仮面でもかぶっているのではないかと思うような冷徹な表情を緩め、俺に手を差し伸べてきた。

映姫「もちろん貴方一人でとは言いません。実は先程長期休暇の許可を貰ってきたところです。私も可能な限りサポートしましょう○○、いいえ、○○さん」

俺は涙を流しながら、映姫様の手を掴み、立ち上がった。

貴方「やってやりましょう、映姫様!」
映姫「『様』はやめなさいな。これから長い付き合いになるのです。礼儀は大切ですが、これではお互いに肩が詰まってしまいます。それに、貴方はあの時、呼び捨てで呼んだではありませんか」

そうだ、紫に負けそうになった映姫様……いや映姫さんを救う逆転の一手、それを打つように促した際に俺は思わず敬称を付けずに彼女の名前を叫んでしまっていた。

貴方「め、面目ない……」
映姫「いえ、むしろ礼を言いたいくらいです。貴方が居なければ私はあのスキマ妖怪に敗れていました」

独房を出ると日差しが二人を照らす。この旅の始まりを祝福するかのように。

映姫「このままでは貴方の中で私は悪者のままですからね。だから、一緒に探していきましょう? 本当に何が起きたのか、この二人の目で」



そして歯車は回り始めたのだ。銀翼と閻魔様の数奇な運命がここから始まる……



銀翼と妖怪寺I.F.
~Irregular Future~
四季映姫・ヤマザナドゥ編
END





名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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