俺は嫌な予感がした。思えば紫はさっきから弾幕を無造作にはなっていただけ。違う、彼女の能力はそんなものじゃない。

紫「廃線『ぶらり廃駅下車の旅』」

耳をつんざくは電車の汽笛。空間に大きく開かれたスキマから光が照らされ、そして古ぼけた電車が爆走していたのだ。勝ち誇っていた閻魔様はその突進に気が付くことなく……。

吹き飛ぶ小柄な少女の体。映姫様が電車に轢かれてしまった! いくら弾幕を防御するバリアがあれど、物理的な衝突は防ぎようがない。

貴方「映姫様っ!」

だが、俺は血まみれになり倒れている緑髪の少女の元に駆け寄ることすら出来ない。脚がガクガクと震えて動かないのだ。恐怖のあまり。何とかしないといけないというのに。

ヨロヨロと立ち上がる映姫様であったが、先ほどの余裕など微塵にもなかった。紫は更にスーっと接近するとスキマから道路標識を取り出し、思い切り殴打。

紫「その偉そうなしたり顔が気に食わないのよ。散々この私をコケにして、気が済むまでこれでボコボコにしてやりますわ!」

振り上げられる腕、紫は一瞬だけこちらを睨み、ニヤリと不気味な微笑みを見せた。「次はお前よ」と言わんばかりの恐ろしげな冷たい微笑み……。対する映姫様は負けまいと眼光絶やさずに立ち上がる。

だが、鉄製の標識が閻魔の顔面を容赦なく殴打し続ける。大きく振りかぶった一撃で映姫様は吹き飛びながら地面に突っ伏した。

再び紫の背後でスキマが開き、そこに腰掛けると、指でクイっと空気を裂くように揺らす。その直後、倒れていた閻魔様の真上にスキマが開く。あの中から落ちてくるのは……墓石!

いけない、いくら閻魔様と言えど、あんなに衰弱した状態で脳天に重たい御影石など落とされたら本当に墓の下行きだ。だが、どうすればいい?

俺を助けてくれた映姫様はまるで「斑鳩」のような戦い方をしていた。白い弾は白いバリアで、黒い弾は黒いバリアで受け止めた。しかし物理的な衝突は避けることが出来ない。そんな斑鳩が持っていた最大最強の攻撃は……。

貴方「映姫っ! 『力の解放』をっ! そのバリアを一気に解除するんだっ! 早くっ!!」




名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

お気に入り登録登録済み一覧

セーブデータ
新規登録・ログイン・マイページはこちら