朝……。
昨日かなり早く就寝した為まだ陽が出て間もないのに目が覚めてしまった。朝日が目にしみる。
外の世界でこんな早起きすることはなかったけれど……まあいい、起きてしまおう。
何故か枕元に用意されていた着替え(部屋まで案内してくれたナズーリンがこっそり用意したのだろうか)に袖を通すと部屋を出、空を眺めた。
突き抜けるような蒼。晴天だ。雲なんてポツリポツリくらいしか見られない。
空気もうまいし花火も綺麗……えっ? 花火だって!?
そう、花火なのだ。よく見ると水兵服姿の少女が巨大なイカリを振り回しながら花火……いや、弾幕を放っている。誰と戦っているんだ?
雲と戦っている!? いや、雲じゃない、拳だ。いや待て待て、拳じゃなくてオッサンのでかい顔。いや、雲か。次々と姿を変えていく。ええいハッキリせい!
水兵服の少女と雲のバケモノが弾幕で競い合っているようだ。
更に目を凝らすと、雲の化け物を操っている別の存在に気がつく。頭巾を被ったこれまた少女。あっ、イカリが雲の操り手に思いっきりぶち当たった。ヒュルルルと頭巾の少女が墜落する。が、器用に体をくねらせて上手に着地していた。水兵服の少女も降りてくる。
???「私の勝ちですよ、一輪。それじゃあ水を汲んできて」
セーラー服の少女が一輪と呼ばれたフード姿の少女に桶を手渡す。
何でお寺なのにシスターがいるんだろう……。
この世界では外の世界の常識がほとんど通用しないようだ。
一輪「せっかく柄杓を持っているのだからムラサが行ってくればいいのに」
ムラサと呼ばれた少女に不平を洩らす。雲の化け物は既に行く気満々のようだったが。まああの巨体がいれば水汲みなんて造作もないのだろう。
それにしても朝っぱらからしょーもないことで決闘するとは……。
しかしこの「弾幕ごっこ」と呼ばれる決闘、魔法弾らしきものをまるで模様を描くように飛ばしており、攻撃するのにいささか不効率的な気もする。
だが見た目は綺麗だしそれぞれ芸術品を見ているかのような美しさを持っていた。
美しさでも勝負しているのだろうか?
まあ、生身の人間に弾幕ごっこなんて出来るはずもない。俺には関係のない世界だ……。
そう割り切ると、聖の様子が気になった。何か人ではない体とか言っていたが、あれだけの怪我がすぐに治せるとは到底思えない。
確か部屋はこっちの方向だったと思うが……、迷ってしまった。命蓮寺はやたら広いのだ。
聖「あれれ、○○さん? おはようございます。ふふっ、貴方も早起きさんなんですね」
ご本人に会ってしまった。というかあれだけ傷だらけだったのに、傷口はふさがって……いや、跡すら残っていない。
すんごく頑丈なんだな。はぁ、このお寺に人間は俺一人なのだろうか……。ちょっと心細い。
聖「そろそろ朝食の時間ですので一緒に向かいましょうね。一緒ならばもう迷わないわ」
迷子になってるのバレバレだった。うう、恥ずかしい……。
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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