自分に敵意なんてものはない。ただ紫がこちらの話に聞く耳を持たないだけ。
聞く耳を持たないというのならば多少強引な方法だとしても聞いてもらうのみ……だ。
「うう、自由に空が飛べて弾を撃つ手段さえあれば……」
しかし飛べない、戦えない自分にその選択は出来ない。
飛べない自分が恨めしい。今ばかりは突き抜ける青空も妬ましい。そう、あの鳥のように自由にキーンって飛べるのなら……
……いや待て。鳥がキーンって甲高い音を立てるか。
いくら常識が通用しない幻想郷だからって機械仕掛けの鳥なんてそうそういるものじゃない。
あれは飛行機だ。ってかアールバイパーが空飛んでるんですけど。確か壊れていた筈じゃあ……。
じゃあアレは何だ。先端が真っ二つに割れている飛行機なんて他に知らないぞ。
???「おぅい、盟友! 止め方が分からないー!」
誰か乗っている。素っ頓狂な悲鳴がここまで聞こえるではないか。大声に気付き、皆も窓から空を見上げ始める。
その戦闘機はそのまま無理矢理高度を下げ始めているのだ。おい、これはまさか……。
「ちょっと荒っぽい着陸をするよっ!」
あろうことか、命蓮寺に落ちてきて、建物に思い切り突き刺さった。
爆音が響く瞬間、耳をふさぎ目をギュっと閉じた。
衝撃がおさまり目を開けてみると命蓮寺の壁に大穴をあけてしまったアールバイパーの姿が目の前にまで飛び出していた。
あと少しで轢かれていたぞ、コレ。
人はそれを着陸とは呼ばない。墜落と呼ぶ。
カパっとキャノピーが開くとリュックサックを背負った少女がひょっこり出てきた。
人懐っこそうな顔つきであるが何者なのだろうか。とりあえず変人であることは分かる。
それが悪戯っぽく舌を出しながらこう言うのだ。帽子を直しつつ。
???「ええと盟友、落し物だぞ」
落としたのはお前だ。
→
名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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