にとり「しかし君もかなりの変わり者だよね。男のくせに弾幕に興味があるだなんて。
まあ変わり者なのは私も同じだし、私が言えた義理じゃないけれど」

にとりは早速作業に入っていた。見たこともない工具がリュックサックから色々出てくる。

にとり「だけどねー、こうデカブツだと弾幕の隙間なんて潜れないと思うなぁ」

パシパシと機体を叩く河童。
確かに「弾幕ごっこ」をたしなむ少女なんかよりもずっとデカい。
人が乗り込む戦闘機だから仕方がないのだけれどね。

「そいつは自分のサイズを小さくすることが出来たんだ。敵弾を防ぐバリアの代わりにその機能を使うパイロットもいたけれど……少数派だったな。
攻撃に当たりにくくなるだけで、攻撃を防ぐものじゃなかったからね」

自機を纏うオーラのようなシールドの代わりにこの機能を使うことが出来た。
「リデュース」というのだが、まあ人気のない兵装だった。

河童のエンジニアはブツブツ言い続けているが、辛うじて「そうなのか」と聞こえた。

にとり「あとは『スペルカード』だね。これがないと『弾幕ごっこ』で生き残るのは難しいよ。それに醍醐味である綺麗な弾幕も出しやすい」

あの芸術的な花火弾幕のことだろう。でも生身の人間に魔法なんて使えないし……

「いや、それはいらないよ。まずは最低限のものを……」

にとり「えええっ! 君、『スペルカード』を甘く見ちゃいけない! 一つ見せてあげるよ。こういうのに対応しなきゃいけないんだよ。
水符『河童のポロロッカ』!」

驚いたにとりがアールバイパーから降りて力説すると、何やら技の名前っぽいのを口にしていた。
手にはカードのようなものを持っている。その直後、頭上からまるで滝のように水の弾がバラバラと降って来た。
思わず頭を抱えてうずくまる。

水とはいえ、こんな高い所から降ってくる水の塊だ。十分凶器になりえる。
狙いを外していたので食らうことはなかったが、水しぶきは容赦なくこちらに降りかかる。
まるで滝のすぐそばにいるような感じだ。

にとり「私に出来る事はこのアールバイパーの復元と、あと君の言っていた自機を小さくするって奴を再現することくらいだ。
パイロットだったんだろう? 何か弾幕っぽいこと出来なかったか、よく思い出してほしい。
そうしたらそれが君だけの『スペルカード』になるんだから」

にとり曰く「スペルカード」とは「弾幕ごっこ」のルールで強力な攻撃を仕掛ける際に宣言する為に使うものであり(なので不意をつくことは出来ない)、カード自体には何も仕掛けのないただの紙切れなのだという。
つまり今の滝のような弾幕は、にとりの力そのものということだ。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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