(その頃マヨヒガ上空……)

まだ日没までには時間があるものの、八雲紫とその式神である藍は既にマヨヒガまで移動していた。

藍「いよいよ……ですね紫様。ところで彼は本当に来るのでしょうか?」

九尾の狐が人里の方向に目をやる。

紫「ええ、きっと来る筈よ? 逃げれば確実に死んでしまうけれど、ここに来て弾幕をすればもしかしたら……ってこともあるし」

空中に浮かぶスキマに腰かけて、そして強烈な日光をピンク色の日傘で防いでいる。

紫「それに文々。新聞がやたらと食いついてくれているし。あれでは引くに引けなくなる筈よ。ほら、号外に誘われて騒ぎ事の大好きな人妖どもが集まってくる……」

迷い家のはずなのだが、わらわらと妖怪や人間がやってくる。
弾幕ごっこの観戦、それは幻想郷における娯楽の一つであり、退屈な時間を長く生きてきた妖怪はもちろんのこと、外の世界ほど娯楽に満ちていない人里の人間にとっても十分に楽しめるものであった。
現に今もわらわらと観戦目的の人妖が集まっていき、橙が地上で対応に追われている。
特に弾幕ごっこでは屈指の強さを持つ大妖怪「八雲紫」と、外の世界から銀翼に乗って弾幕を繰り広げる男性の対決という触れ込みで宣伝されている。相当魅力的な対戦カードであろう。

とはいえ死人が出るかもしれず、賭け事の対象にもなりやすいという理由もある為、小さい人間の子供がここに現れることはない。なので寺子屋の先生がここに来る事も本来ならばあり得ないのだが……

慧音「考えを……改めるつもりはないのだな?」

青白い長髪、慧音が今も武力衝突を避けられないかと申し出ていた。

紫「当然でしょう? みんな私の弾幕を見たがっているわよ。それに、銀翼は幻想郷にあってはならないもの。それを持ち込んで幻想郷を崩壊させようとした不埒な人間にはその命をもって謝罪してもらうわ」

慧音「だがアイツは自らの意思とは関係なく、事故で……」

紫「黙りなさい。『妖怪は人を襲うもの』。それはスペルカードルールが発案されてからも幻想郷にあり続ける暗黙のルールよ。幻想郷が平和過ぎて忘れていたのかしら? いい機会だしそれをあの外来人と、ここにいる皆に思い出させる」

扇子を突き出し慧音を制止する。幻想郷の大前提を突きつけられ、グウの音も出ないワーハクタク。

慧音「すまない○○……。私では何も力になれないようだ……」



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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