そうと決まれば俺は宝塔型通信機を乱暴に取り出して起動させる。通信の相手は白蓮……ではなくてにとりだ。

貴方「にとり、応答してくれ! 月面に向かおうとしていたがバクテリアン軍残党に追い回されている。月面に向かいながら奴らを倒すにはお前の力が必要だ!」

時折ノイズ音が響く中、俺は通信機に向かって何度も叫ぶ。無数のガウの軍勢から逃げながら、通信が届くことを祈り続ける。

にとり「どうしたんだい? 随分と切迫しているようじゃないか」
貴方「ちょいと敵さんの数が多くて苦戦している。相手をしてたらキリがないので、前に用意していたアールバイパー用の追加ブースターをこっちまで飛ばして欲しい。これで一気に月を目指す!」

気が付くと前方から、そして側面からもバクテリアン軍が接近しているのが分かる。ガウだけではなく「ブーストコア」や「ビーコン」のような高機動型戦艦も迫ってきているのだ。

ゴーレム「キヒヒ、お前は完全に包囲されている! 無駄な抵抗はやめて、貴様の運命を受け入れるんだなぁ!」

いいや、俺の運命は俺が切り開く。前後左右も塞がれているのなら、俺は期待を上方に傾けて急上昇するのみ。地面に向かってジェットエンジンが爆ぜ、強烈なGが俺とサグメを襲う。

ブルブルとわずかにブレながらも、みるみる高度を上げていくアールバイパー。もちろんガウ達もそれを黙って見過ごすわけもなく、やはり追いかけてくる。

ゴーレム「なるほどなぁ、確かに俺様は上にはバクテリアン戦艦を配置しなかった。何故だかわかるか? 知ってるんだよ、アールバイパー単体では大気圏突破ができないって弱点をなぁ! さあ、我らバクテリアン軍に撃ち抜かれるか、摩擦熱でオダブツになるか? 好きな方を選びなっ、キッヒヒヒィ!!」

地上がみるみる小さくなっていく。俺は追加ブースターの到着が間に合うことをひたすら祈るしかなかった。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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