いや、依姫の動きが止まった。気づくといつの間にかアールバイパーから抜け出していた片翼の少女が翼と両腕を広げて彼女をにらみつけていたのだ。

サグメ「……」

そうだ、今回の任務はれっきとした月の民からのもの。それを知らせるために彼女が自ら前戦に降り立ったんだ。

依姫「サグメ様……? こいつらに脅されているのですか!?」
サグメ「いや、そうではない。黙って見ているがいい。真実が見えてくる」

それだけ手短にボソボソと口にすると再び左手で口元を覆ってしまった。今も翼を大きく広げながら。

ゴーレム「バクテリアンの誇りを思い出せ!」

その間にゴーレムの太い触手でテトランのボディを思いきり殴打、大きく揺さぶった。今のがかなり効いたらしく、触手がだらりと垂れる。

ついにそのショックでテトランを光の呪縛から解き放ったらしく、機械のような(テトランは機械だけど)抑揚のなさは見られなくなっていた。

テトラン「ゴーレム? ゴーレムなの?」
ゴーレム「やった、やったぞ! ヒヒヒ、オメーは今まで悪い夢を見ていたんだ。こんな感じで他のバクテリアンも悪夢にうなされてるから、一緒に目ェ覚まさせるぞ!」

騒ぎを聞きつけて他のバクテリアン戦艦が近寄ってくる。

テトラン「あれは『ブラスターキャノンコア』に『リザードコア』よ!」

とりあえず今は味方のバクテリアンに月の都きっての剣士。この場は彼らに任せられそうだ。俺はこのままシーマの親玉とコンタクトを取りたい。

貴方「依姫、地獄の腐れピエロがこの事件に一枚噛んでいるんだ。戦艦どもは正気に戻せば大人しくなるはずだ。それはこのゴーレム達に任せてやってほしい。依姫はこれ以上被害が大きくならないようにクラウンピースを捕えてくれ」
依姫「断る! 何の義理があって地上人の言うことを聞かなくてはならないんだ? この汚らわしい侵略者など刀のサビにしてやる方が簡単ではないか」

それではダメなんだよ。そもそも大規模な戦闘行為をさせてはいけないんだ。それを説明してやりたいところだが、クラウンピースの手先と化したバクテリアン戦艦はすぐそこまで迫っている。そんな猶予はない。手をこまねいていると、もう一人の月の民から助け舟が出された。

サグメ「この男は八意様の命でここまで赴き、我ら月の民の為に尽力している。今の○○に背くことは八意様に異を唱えることを意味するぞ」

これはものすごい説得力になりそうだ。永琳が月の重鎮たちに尊敬されているのはよく知っているし、そこにサグメの能力も加わる。現に依姫の高圧的な態度は鳴りを潜め、跪き始めているではないか。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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