ただの人間一人が背負うにはあまりに重すぎる責任だ。ここで冷静さを維持できるほど俺は人間ができていない。
今もガタガタと小刻みに震える俺の後ろに柔らかな感触で包まれる。サグメが後ろからギュッと抱き着いているのだ。片方にだけある羽も含めて。
サグメ「今の私に出来るのはこれくらいだけど……」
今も少し震える左手で俺はサグメの手を取る。暖かくて柔らかで、それが気休めであるにもかかわらず、俺は随分と安心感を覚えた。サグメは月の都の政治的な要人だという。時には月の都全体を揺るがすようなやり取りを行うこともあるのだろう。それゆえに俺の苦しさを理解しているのかもしれない。
貴方「ありが……とう。俺は上手くやれるのだろうか?」
サグメ「それは……」
口にしようとしてモゴモゴと言葉を押し殺してしまった。むやみに能力を発動させるべきではないと判断したのだろう。
サグメ「だけど、どうして自分だけで抱え込もうとするの? 貴方を失ったら八意様に申し訳が立たな……いいえ、私も悲しいもの」
貴方「誰かが傷つくくらいなら……俺が庇う。びゃく……聖様なら、俺の大切な人ならきっと同じような行動を取っていた筈だ」
俺は少しだけ後ろを振り向いた。サグメがどこか悲しげな表情をしていた。本気で俺のことを心配してくれているのだろう。ならば猶更こんなところで終わるわけにはいかない。
月を守り、そして幻想郷を守り通す! 俺の決意はさらに固くなった。
銀翼と妖怪寺Re:∀CT IVに続く……
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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