薄暗くもどこか美しい永遠亭の回廊。このどこかに傷ついた霊夢と藍がいる筈なのだが、この回廊を見る限りではとても病院とは思えない慎ましくも美しいたたずまいである。
暴れる呼吸を抑えながら僕は永遠亭の奥を目指す。万が一あのバイドに再び捕捉されたら厄介なのでね。回廊を進んでいるうちにあの藍の声がかすかに聞こえた気がした。霊夢の状態も気になる。僕は吸い寄せられるように藍がいるであろう部屋へとフラフラと近づいて行った。
何度も曲がり角や分かれ道を経て藍がいるであろう部屋の前までたどり着いた。扉を少しだけ開き中を覗き込む。そこには汚れてボロボロになった巫女服を脱がされ下着姿で横たわる霊夢の姿が見えた。
その傍にいるのは頭からすっぽりとフードを被った長身の女性の姿。特徴的な九尾は見えないが、その声は明らかに藍のものである。ハッキリと会話が聞こえるわけではないものの、霊夢の容体は安定しているようで、数日も入院していれば快方に向かうそうだ。まったく、最初からこうしていればよかったのに……。
霊夢が無事に目覚めて退院できれば僕も晴れて自由の身になれるし霊夢のことを誰に話しても問題はなくなるだろう。だが、今もフードを被った藍の次の一言で僕はその認識が甘かったことを痛烈に感じることになる。
藍「では外来人『宇佐見蓮子』のことを頼んだぞ。急な幻想入りで記憶も混乱しているだろうからそちらのケアも進めてもらえると助かる」
ウサミレンコ? それに外来人だって!? いやいや、今も横たわっている下着姿の少女は明らかに霊夢だ。長年の付き合いなのだから特徴的な巫女服やリボンがなくたって僕には彼女を正確に認識できる。
随分と手の込んだ設定だが、永琳にも博麗の巫女が瀕死の重傷を負っているという事態を伝えたくなかった……と考えるのが妥当だろう。……いや待て。この結論には何か違和感があるぞ?
困惑している最中、永琳が診療室から出てきた。
永琳「あら、早速外来人の噂を聞きつけてやってきたのかしら? 一応面会は認めるけれど、記憶も混濁しているようだし患者さんに無理はさせないであげてね?」
ニコリと微笑みながら彼女は去っていく。僕のことを外の世界の話を聞きに来た男と認識しているのだろう。中には藍も残っており今は眠りについている蓮子……いや、霊夢の傍で一人立っている。
藍「なんだ道具屋、外で待っていろと言っていた筈だが?」
霖之助「妖怪に襲われたのでここまで逃げてきただけだ」
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名前:聖白蓮
身体強化率326%
お姉ちゃん!
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