霖之助「それより彼女の容体はどうなんだ?」
藍「さすがは永遠亭の名医だ。数日入院していれば怪我は完治するという。後遺症も残らないというしひとまず幻想郷は安泰だ」

そうか、それはよかった。……いや、なんだこの背筋にゾクリとくる寒気は? ニンマリと安堵の笑みを浮かべる藍の口角が僕をそうさせている。霊夢ではなくわざわざ外来人と偽装したのは「博麗の巫女が瀕死の重傷を負ったという事実を広めたくない」というもの以外の思惑が見え隠れしているようなのだ。

藍が言うには紫は既に死亡しているらしい(○○は逆に「紫は生きている」なんて言っていたが、藍の言い分の方が信憑性があったので死んでしまったと考えたほうがいいだろう)。これだけでも幻想郷は一大事だというのに、霊夢が大怪我を負って病院送りになるなんて事態が明るみに出れば幻想郷は統率が取れなくなり、下手すれば博麗大結界の破壊を待つことなく崩壊してしまう可能性だってある。

その事実は隠さなければならない。そうでなければ僕を拘束する必要だってない。だが、永遠亭の医療技術をもってすればそんな霊夢も数日もあれば五体満足で治療可能だというのだ。つまり永琳には霊夢の正体を隠す必要がない。むしろ正体を明かした方が永琳は集中的に治療を施してくれるのではないだろうか?

霖之助「永琳にまで嘘をつくことなかったんじゃないかな?」
藍「病室に『博麗霊夢』の看板でもつけてみろ。すぐさま鴉天狗の巣になるぞ」

やはりそういうことか。いやいや、それでは答えになっていない。永琳に事情を話せば……というか聡明な彼女なら事情を汲んでそんなことはしない筈である。

霖之助「ところで、容態が安定しているというのなら僕も霊夢と話がしたい。そもそも霊夢が大怪我したのは僕を庇ったからなのだよ。僕が無事であることを彼女に伝えたい」
藍「霊夢ではなく蓮子だ。それにぐっすり眠っているのを邪魔するつもりか?」

一言声をかけるだけだ。僕はそれくらいの軽い気持ちで霊夢に近づいた。だが、藍はそんな僕をかたくなに拒絶し押しやろうとするのだ。



名前:聖白蓮
身体強化率326%

お姉ちゃん!

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